2008 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂患者の精神状態の分析と満足度に対する研究
Project/Area Number |
18791324
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
那須 和佳子 Iwate Medical University, 医学部, 助教 (80282177)
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Keywords | 心理社会的側面 / 唇顎口蓋裂 / 精神状態 / 満足度 / 自尊感情 |
Research Abstract |
【目的】唇顎口蓋裂の治療はチーム医療体制に発展したが、治療のみならず患者心理の変化や満足度についての評価は重要である。今回、患者の満足度や心理的側面につきアンケート調査を行い検討した。 【対象】当科で治療歴がある患者10人および口友会を通じ協力の得られた23人、合計33人にアシケート調査した。患者年齢は15〜73歳(平均36歳)、男性12人、女性21人であった6当科患者への調査は本学倫理委員会の承認を得た後、患者両親と本人の同意の下に行った。 【方法】疾患の告知状況、顔貌に関する体験や満足度、SF-36を用いたQOL尺度、自尊感情尺度につき調査した。SF-36と自尊感情尺度については対照群として大学生661人にも調査した。 【結果】SF-36および自尊感情尺度の患者一対照群との比較では、有意差を認めた年齢、性別を共変数として共分散分析を行ったところ、SF・36の下位尺度である社会生活機能およびSF-36の総得点において、患者群が対照群より有意に高かった。また、顔貌に対する術前術後の評価では、術後に「すぐれている・ややすぐれている」との回答が有意に増えていた。告知については40%が親から告知され、52%が小学生までに告知されていた。自分の顔貌に不満足と回答したのは49%、また79%が顔貌のことでいやな体験をしたことがあり、64%が今まで自分は健常な人と違うと思ったことがあった。 【考察】口唇口蓋裂患者は、半数近くが顔貌に不満をもっており、また社会生活の中で様々な深刻な体験をしていた。治療面のみならず精神的な支援体制が必要と思われた。しかし、術後に顔貌に対する評価は改善しており、手術が顔貌の自己評価にプラスに作用していることがわかった.
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