2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳低温療法の有効性-プロテオーム解析を用いた脳損傷と脳保護効果の検討
Project/Area Number |
18791340
|
Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
小田 泰崇 Yamaguchi University, 医学部・附属病院, 助教 (40397998)
|
Keywords | 心肺停止 / 蘇生後脳症 / プロテオーム / 予後マーカー |
Research Abstract |
心肺停止蘇生後患者の6ケ月後の神経学的予後をGlasgow outcome scaleを用いて予後良好群(GR) 5例、予後不良群(PR)7例の2群に分類した。髄液採取は蘇生後48時間目に、コントロール群(CTL)9例の髄液は腰椎麻酔手術時に採取した。 脳脊髄液の蛋白質同定はナノフロー液体クロマトグラフィー・ハイブリッド型タンデム質量分析システムによる分析、及びMASCOTソフトウェアを用い行った。 3群各1例の試料から合計107種類の主要脳脊髄液蛋白質が同定され、Gene Ontology Databaseによるその細胞局在は58%が細胞外に、32%が細胞質及び細胞内小器官に分類された。CTL 49種類、GR 45種類、PR 80種類の蛋白サブセットが同定された。Albumin, transferrin, apolipoprotein Eなどの23種類は3群で共通に検出され、87%が細胞外局在であった。一方、63種類の蛋白質はいずれかの群のみで検出され、中でもPRのみで同定された40種類の蛋白質は、22種類、55%が細胞内局在をもつ蛋白質であった。PRに特異的な蛋白質40種類の生理的役割は、炎症や細胞代謝に関連するものが多く、ついでシグナル伝達、物質輸送、構造にかかわる蛋白質であった。脳局在の高いPR特異的蛋白質はcarnosinase I、aldolase C、secretogranin IIIなどの代謝に関連する蛋白や脳損傷マーカーであるenolase 2などがあり、細胞内蛋白の割合が高かった。既知蛋白質についてはwestern blot解析によりPR特異性を示した。合成ペプチドに対する抗体を作成した新規マーカー蛋白のWestern blotによる半定量的解析では、CTL O/9、GR 1/5であったのに対し、PR 6/7が陽性であり、PRに強く発現を認め、神経学的予後を予測するマーカー候補となりうると考えられた。
|