2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791346
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井上 佳世子 (野澤 佳世子) 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (90303130)
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Keywords | 顎関節 / 滑膜 / 表層細胞 / カベオラ / カベオリン |
Research Abstract |
カベオラは細胞膜の陥凹構造で,その主要構造タンパクであるカベオリンはカベオリン-1,-2,-3の3つに分けられる.顎関節滑膜表層細胞のうち,線維芽細胞様B型細胞はカベオリン-1を発現する多数のカベオラを有する.多くの組織でカベオリン-1は広く分布するのに対し,カベオリン-3は筋に特異的と言われてきた.しかしながら,骨格筋にはカベオリン-3のみが存在するのに対し,一部の平滑筋はカベオリン-1と-3を合わせもつ.線維芽細胞様B型細胞の形態からは伸縮性をもつことが想像され,加えてリウマチ性関節炎の滑膜では筋線維芽細胞の特徴を示すように変化することから,カベオリン-1以外の-2,-3にも着目し,その分布をラット顎関節滑膜において免疫細胞化学的手法にて検索した結果,以下のような所見を得た. B型細胞のカベオラにはカベオリン-1だけでなく-2と-3も局在していた.カベオリン-1や-2が表層細胞以外の血管内皮細胞や線維芽細胞,軟骨細胞の一部にも発現していたのとは対照的に,-3は滑膜最表層のB型細胞の細胞膜にのみ限局しており,他の細胞には全く免疫陽性反応が認められなかった.さらには,ほとんどのB型細胞はカベオリン-1陽性のカベオラを有しkいたのに対し,一部のB型細胞はカベオリン-3を欠いていた.B型細胞の発生学的由来は未だ不明であるが,未分化なB型細胞が胎生期の間葉系細胞中に出現すると報告されていることから,間葉系の細胞から直接分化したB型細胞が滑膜表層細胞層内で成熟,増殖すると考えられる.本研究ではカベオリン-3免疫陽性のB型細胞は免疫陰性の細胞に比べて細胞内小器官が発達していた.平滑筋では細胞分化にカベオリン-3が関与しているという報告があり,本研究のカベオリン-3の免疫活性の発現もB型細胞の分化段階を反映している可能性が示唆された.
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Research Products
(1 results)