2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791346
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
井上 佳世子 (野澤 佳世子) Niigata University, 医歯学系, 准教授 (90303130)
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Keywords | 顎関節 / 滑膜 / 表層細胞 / カベオラ / カベオリン |
Research Abstract |
細胞膜カベオラの構造タンパクであるカベオリンにはカベオリン-1,-2,-3の3つのサブタイプが存在する.多くの細胞に存在するカベオリン-1,-2に対し,カベオリン-3は筋線維に特異的に存在している.私は昨年度までに顎関節滑膜の滑膜表層細胞のうち,線維芽細胞様B型細胞のカベオラにこれら3つのカベオリンが局在することを明らかにした.このB型細胞はリウマチ性関節炎などでみられる骨破壊性のパンヌス形成時に増殖することが知られ,その際,筋線維芽細胞の特徴を有するように変化することが報告されている.B型細胞はその重要性にもかかわらず,正常微細構造および由来すら明らかにされていない.今年度はカベオリン-3を発現するB型細胞の詳細を微細構造学的に検索するとともに,炎症に関与し,カベオリン-1が抑制するとされる一酸化窒素合成酵素(nitric oxide synthase;NOS)の局在をラット顎関節滑膜において免疫細胞化学的手法にて検索した結果,以下のような所見を得た. 正常ラット顎関節滑膜表層細胞において,NOSのすべてのサブタイプ(血管型eNOS・神経型nNOS・誘導型iNOS)の発現は免疫組織化学的に検出されなかった.一方,カベオリン-3免疫陽性のB型細胞は生後14日目に出現し,8週目までは増加する傾向にあった.免疫陽性細胞が出現する時期は滑膜表層細胞層が形成された後であること,また陽性細胞の細胞内小器官が免疫陰性の細胞に比べて発達していることから,カベオリン-3がB型細胞の増殖ではなく,分化に関与していることが示唆された.
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