2007 Fiscal Year Annual Research Report
ピロリン酸・リン酸代謝機構を標的としたセメント質形成機構の解明
Project/Area Number |
18791349
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 Osaka University, 歯学研究科, 講師 (70335660)
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Keywords | ank / 石灰化 / ピロリン酸 / 歯根膜細胞 / セメント芽細胞 / 骨芽細胞 / 骨基質タンパク質 / リアルタイムPCR法 |
Research Abstract |
リン酸・ピロリン酸代謝機構に関わる遺伝子のうち、ピロリン酸を細胞内から細胞外へと輸送する膜タンパク質Ankylosis.protein(Ank)に異常を有しているために、細胞外のピロリン酸濃度が低下し、石灰化の抑制が出来なくなってしまうために、石灰化亢進となり、石灰沈着を伴った関節炎、骨の過成長、関節破壊が起こるank/ankマウスを用いて歯根膜細胞を採取し、ank遺伝子に異常を有するマウス歯根膜細胞株を樹立した。マウス実験動物から作成したHE染色標本での観察では、ahk野生型と異常型の歯根膜部の形態に明らかな組織学的違いは見出されなかった。しかしながら、セメント質部の比較ではank遺伝子異常型のマウスにセメント質の著明な肥厚が観察された。樹立した培養細胞株を、位相差顕微鏡を用いに観察したところ、ank遺伝子異常型マウスの歯根膜細胞は、骨芽細胞やセメント芽細胞に特徴的な立方状の形態を示していた。 さらに、リアルタイムPCR法を用いて、骨基質タンパク質である骨シアロタンパク質とオステオカルシンの発現を検索したところ、ank遺伝子異常型歯根膜細胞は、ank野生型歯根膜細胞よりも非常に高い骨シアロタンパク質mRNAの発現を示していた。一方で、オステオカルシンmRNAは、ank野生型歯根膜細胞よりも低い発現を示していた。 また、培養日数を7日目まで延ばして、別の骨基質タンパク質であるオステオポンチンの発現をリアルタイムPCR法にて検索したところ、培養1,3、5、7日目ともにank遺伝子異常型歯根膜細胞のオステオポンチンmRNAの発現がank遺伝子野生型歯根膜細胞よりも高く、ピロリン酸は石灰化の初期の段階からオステオポンチンのmRNA発現に影響していることが示された。
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