2007 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨から骨への置換期のCTGF/CCN2の作用メカニズムの分子レベルでの解明
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18791366
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西田 崇 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30322233)
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Keywords | 軟骨細胞 / CCN family 2 / 結合組織成長因子(CCN2 / CTGF) / 血管内皮増殖因子(VEGF) / hypoxia inducible facto1 α (HIF1α) / 低酸素条件 / hypoxia response element (HRE) |
Research Abstract |
本研課題から以下のことが明かとなった。 1.ヒト軟骨細胞様細胞株HCS-2/8を低酸素条件下で培養すると血管内皮増殖因子(VEGF)の発現上昇が認められた。 2.CCN family 2/結合組織成長因子(CCN2/CTGF; CCN2)欠損マウスの肋軟骨から軟骨細胞を単離し、VEGFの発現を調べると、CCN2欠損軟骨細胞でVEGFの発現量の減少が確認された。 3.CCN2遺伝子を過剰発現させたHCS-2/8細胞を低酸素下で培養するとVEGF遺伝子の発現上昇が見られたが、通常酸素条件下では変化が見られなかった。 4.HCS-2/8細胞に組換えCCN2タンパク質を添加すると、hypoxia-inducible factor 1α(Hif1α)の遺伝子発現上昇が見られた。 5.VEGF promoterの下流にルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだプラスミドをHCS-2/8細胞に遺伝子導入し、低酸素下でCCN2を添加すると対照群に比べてCCN2の濃度に依存してルシフェラーゼ活性が上昇した。 6.VEGF promoter上のhypoxia response element(HRE)にmutationを入れるとCCN2刺激を行ってもルシフェラーゼ活性の上昇は見られなかった。 7.胎生18.5日のマウス成長板を用いて抗VEGF抗体による免疫染色を行うと、VEGFは肥大軟骨細胞層だけでなく、静止層及び増殖層の軟骨細胞にも局在した。また、この部位は低酸素状態であることが報告されており、HIF1αも核内に局在した。一方、CCN2欠損マウスの成長板では静止層及び増殖層のVEGFの発現は低下し、HIF1αも核内に見られなかった。 本研究から低酸素条件下でのCCN2刺激によりVEGF発現の上昇が見られたが、CCN2が直接的にVEGF promterの活性を制御しているのではなく、HIF1αの発現を介していることが示唆された。このことはCCN2が肥大軟骨細胞層に発現しているVEGFを主に制御しているのではなく、低酸素下の静止層や増殖層のVEGF発現制御に関与している可能性が考えられ、内軟骨性骨化におけるCCN2とVEGFの関係を明らかにした本研究は非常に意義深く重要であると考える。
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