2006 Fiscal Year Annual Research Report
痛みの脊髄抑制路におけるモノアミントランスポーター発現動態についての研究
Project/Area Number |
18791367
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
十川 千春 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (10253022)
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Keywords | トランスポーター / ノルエピネフリン / ドパミン / 疼痛 |
Research Abstract |
本研究は、ノルエピネフリントランスポーター(NET)発現動態の解析を中心に、疼痛に関わる下行性抑制系神経におけるNETの役割と疹痛制御への関与について検討し、またその他のモノアミントランスーポーター(ドパミントランスポーター(DAT)およびセロトニントランスポーター(SERT))についても併せて検討することにより、歯科領域で問題となっている神経因性疼痛の有効な治療法の開発基盤を得ることを目的とする。 まず、ノルエピネフリン(NE)の再取り込み機構をつかさどるNETの発現調節がNETアイソフォニム間の相互作用により制御されている可能性を検討した。その結果、ヒトNETにおける3種のアイソフォームのうちNE輸送活性を有する2つのアイソフォームヒトNET1およびヒトNET2、いずれもC末端領域のエキソン(E)14領域がその機能発現のために重要な役割を果たしており、ヒトNET1および2いずれもE14に存在するER export signalがNE輸送活性発現のために必要であることがわかった。さらに、E16のER retention signalはE14のER export signalと相互作用してヒトNET2の細胞膜への発現に関わっている結果が得られた。以上のことから、ヒト'NETの機能発現にはC末端領域E14に存在するER export signalが重要であり、ヒトNETアイソフォーム間ではER export signalを修飾する機構が異なっていることが明らかとなった。 ヒトDATにおいてもE6を欠失したスプライシングバリアントが存在し、このバリアントと野生型ヒトDATの相互作用についても検討した結果、E6欠失バリアントはそれ自身膜への移行性が悪く、野生型と共発現させた場合、野生型ヒトDATの膜への発現を制御していることが明らかとなった。現在さらに両者の相互作用について検討中である。
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