2006 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼筋における副交感神経性の血流増加反応に与える過度の交感神経活動の影響
Project/Area Number |
18791372
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
石井 久淑 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (00275489)
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Keywords | 咀嚼筋 / 頸部交感神経 / 副交感神経性血管拡張線維 / アドレナリン受容体 / 三叉-自律神経反射 / 交感神経性血管収縮線維 / フェントラミン / プロプラノロール |
Research Abstract |
本研究は、咀嚼筋の副交感神経性血流増加反応に対する交感神経活動の影響について検討した。その結果、1)ラットの咀嚼筋(咬筋)の血流量は、頸部交感神経の切断によって有意に増加した、2)頸部交感神経の持続的な電気刺激は、刺激側と同側の咬筋に刺激強度と頻度に応じた血管収縮反応を誘発した、3)三叉神経の末梢枝(舌神経)の電気刺激によって誘発される咬筋の副交感神経性血流増加反応は、過度の交感神経活動によって顕著に抑制された、4)この副交感神経性血流増加反応の抑制作用は、交感神経α-及びβ-受容体遮断薬によって影響を受けなかった。以上より、咀嚼筋の副交感神経性血流増加反応は、過度の交感神経活動によって顕著に抑制されることが明らかになった。また、この副交感神経性血流増加反応の抑制作用は交感神経α-及びβ-受容体を介する反応ではなく、その他の神経伝達物質(NPYやガラニンなど)とそれらの受容体が関与している可能性が示唆された。 咀嚼筋の疼痛や疲労は、近年急増する慢性的な咀嚼障害(咀嚼筋痛、ブラキシズム及び顎関節症など)に最も多く認められる症状である。これらの咀嚼障害は自律神経機能の乱れを伴う場合が多く見受けられる。しかしながら、自律神経系と咀嚼障害との関連性は未だ不明な点が多い。したがって、本研究によって得られた咀嚼筋の血流調節における交感神経と副交感神経との相互作用に関する新たな知見は、自律神経系の異常に起因する疾患に対する新たなアプローチの可能性を予見し、さらに詳細に検討できる手がかりを与えることが期待される。
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