2006 Fiscal Year Annual Research Report
ILー4およびIL-13による破骨細胞分化抑制機構の解明
Project/Area Number |
18791375
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
山田 篤 昭和大学, 歯学部, 講師 (50407558)
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Keywords | 遺伝子 / 細胞・組織 / シグナル伝達 / 発生・分化 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
IL-4とIL-13は、主にTh2細胞が産生するサイトカィンで、炎症や免疫反応において重要な役割を果たしている。申請者はIL-4とIL-13による破骨細胞分化抑制機i序について検討し、両者が異なる機序で破骨細胞分化を抑制することを見いだした(論文印刷中)。 IL-4およびIL-13はともに、マウスの骨髄細胞と骨芽細胞の共存培養系において活性型ビタミンDによる破骨細胞分化誘導を濃度依存的に抑制した。ただし、分化を完全に抑制するにはIL-4に比べ高濃度のIL-13を必要とした。共存培養系において、これら2つのサイトカインが異なる作用機序を示す原因として、骨芽細胞を介して間接的に破骨細胞前駆細胞に作用するもしくは破骨細胞前駆細胞に直接作用することが考えられた。そこで、骨芽細胞における破骨細胞分化抑制因子OPGの発現に対するIL-4およびIL-13の影響を検討したところ、両者は同等に1ng/ml以上の濃度でOPGを誘導した。次に、破骨細胞分化誘導因子であるRANKLによる破骨細胞分化誘導系を用いてIL-4とIL-13の破骨細胞前駆細胞に対する直接作用を検討したところ、IL-4が10ng/ml以下で完全に破骨細胞分化を抑制したのに対し、IL-13はさらに高濃度でも完全には抑制できなかった。この時、両サイトカインの受容体を構成するサブユニットのうち、IL-4のシグナルのみを伝達するγcは、破骨細胞前駆細胞には発現していたが骨芽細胞には発現していなかった。そこで、骨芽細胞と破骨細胞前駆細胞におけるIL-4とIL-13によるSTAT6の活性化を、リン酸化を指標に検討したところ、骨芽細胞では両サイトカインがリン酸化を誘導する濃度が同等であったのに対して、破骨細胞前駆細胞ではIL-4はIL-13よりも低濃度でリン酸化を誘導した。さらに、破骨細胞分化に必須であるNFATclの発現は、IL-4によって完全に抑制される濃度のIL-13によって抑制されなかった。 以上の結果からIL-4とIL-13は破骨細胞前駆細胞に対して、STAT6の活性化様式の差により破骨細胞分化抑制機序が異なることが示された。
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Research Products
(3 results)