2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791376
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
溝口 利英 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 講師 (90329475)
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Keywords | M-CSF / RANKL / ニッチ / 細胞周期 / p38MAPK / ブロモデオキシウリジン / Ca欠乏食 |
Research Abstract |
造血はニッチに存在する骨芽細胞が支持する。我々は、この骨芽細胞が、分化が進んだ破骨細胞前駆細胞も支持するという仮説をたてた。前駆細胞にRANKLが作用すると、細胞周期の停止と共に破骨細胞へと分化する。我々は、(1)破骨細胞分化過程は、細胞周期の進行と停止を境にフェーズ1と2に分割できること、(2)フェーズ1と2の間にはpOCP(post-mitotic osteoclast precursors、増殖後破骨細胞前駆細胞)が存在すること、(3)フェーズ1にはp38MAPKとNFATc1が、フェーズ2にはNFATc1が必要であることを報告した(第23回日本骨代謝学会抄録、p194、:0-079)。平成18年度の科学研究補助金により、以下の知見を得た。 1.破骨細胞分化のシグナル解析 レトロウイルスによる破骨細胞前駆細胞へのNFATc1の過剰発現は、非RANKL刺激下で破骨細胞分化を誘導する。以上の分化系により、(1)P38MAPK阻害剤は、NFATc1誘導性の破骨細胞形成を抑制すること、(2)NFATc1の過剰発現は、p38のリン酸化には影響しないことが明らかになった。以上より、フェーズ1において、p38MAPKとNFATc1は破骨細胞分化に対して協調して働くことが示唆された。 2.pOCPの存在様式の解析 マウスにブロモデオキシウリジン(BrdU)を飲料水に加え投与し、Ca欠乏食で飼育した。飼育後、破骨細胞をTRAP染色にて観察した。また、破骨細胞の分化過程におけるBrdUの取り込みをBrdU染色にて観察した。その結果、(1)Ca欠乏食による飼育は、破骨細胞数の増加を誘導したが、それらの核はBrdU陰性であった。以上より、急激に分化した破骨細胞は、細胞周期の停止したpOCP由来であることが示唆された(第24回日本骨代謝学会抄録、p208、:O-136)。
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