2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビオチンによる免疫制御機構の解明と金属アレルギー性疾患治療への応用
Project/Area Number |
18791379
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒石 智誠 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (30400261)
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Keywords | ビオチン / 金属アレルギー / 免疫学 |
Research Abstract |
1.ビオチン欠乏マウスにおけるニッケルアレルギー反応の解析 正常およびビオチン欠乏マウスに対して実験的ニッケルアレルギーを誘導し,アレルギー性炎症に対するビオチン欠乏の影響を解析した.ニッケルアレルギーはマウスに大腸菌内毒素(LPS)と塩化ニッケル水溶液の混合液を腹腔内投与することにより誘導し,耳介部へのニッケル水溶液注射による耳介部の肥厚をアレルギー性炎症の指標として測定した.その結果,ビオチン欠乏マウスでは正常マウスに比較して,アレルギー性炎症が有意に増強していた.さらに,ビオチン含有飲料水を用いてマウスにビオチンを経口投与し,ニッケルアレルギーに対するビオチン投与の影響を解析した.その結果,正常およびビオチン欠乏マウスのいずれにおいても,投与ビオチン量に依存したアレルギー性炎症の有意な軽減が認められた. 2.ビオチン欠乏マウス由来細胞を用いたin vitroでの解析 正常およびビオチン欠乏マウスより脾細胞を調整し,炎症性サイトカインの一種であるinterleukin(IL)-1β産生能を解析した.その結果,ビオチン欠乏マウス由来脾細胞では正常マウス由来細胞に比較して有意に高値のIL-1βを産生した. 3.炎症性サイトカイン産生に対するビオチン補充の影響 ビオチン欠乏J774.1細胞(マウスマクロファージ様細胞株)では正常J774.1細胞に比較して,炎症性サイトカインであるtumornecrosis factor(TNF)-αおよびIL-1β産生が増強していることを昨年度までに明らかにした.そこで,ビオチン欠乏細胞を正常(ビオチン含有)培地で2週間培養しビオチンを補充したところ,TNF-dおよびIL-1βのいずれの産生量も正常細胞と同程度まで低下した.
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