2006 Fiscal Year Annual Research Report
根面齲蝕象牙質に対するコンポジットレジンを用いた新規治療法の開発
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18791400
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
土居 潤一 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90379842)
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Keywords | 根面齲蝕 / コンポジットレジン / 接着 / フッ素徐放性 / 再石灰化 / 脱灰象牙質 |
Research Abstract |
本年度の研究では、歯根部人工脱灰象牙質に対するワンステップボンディングシステムの接着強さ測定を行い、接着界面と接着試験後の破断面のSEM観察を行った。さらにう蝕象牙質の前処理溶液として50wt%HEMA/1.2propandoil溶液を用いて接着性の検討を行った結果、以下のような研究成果が得られた。 1.ワンステップボンディングシステムの脱灰象牙質に対する接着強さは、健全象牙質に比べて有意に低かった.接着界面のSEM観察では、健全象牙質の樹脂含浸層に比べて人工脱灰象牙質の樹脂含浸層は疎な構造を呈していた。また、破断面形態観察結果から、人工脱灰象牙質では主に界面破壊が観察され、健全象牙質では象牙質内の凝集破壊やレジン内の凝集破壊が観察された。 2.前処理を行った脱灰象牙質の接着強さは無処理の場合と比べて有意差はなかった。しかし、接着界面形態観察において前処理を行った場合、無処理に比べて緻密な樹脂含浸層が形成されており、ボンディングレジンの脱灰象牙質への浸透性に違いが認められた。前処理を行った場合の破断面形態では混合破壊が多く観察された。 また、フッ素徐放性材料を用いて窩洞窩底部に作製した人工脱灰象牙質の改質効果を材料からのフッ素徐放量および脱灰象牙質の再石灰化から評価を行い、以下のような研究成果が得られた。 1.フッ素徐放性材料からのフッ素徐放量は1、5、10週と時間が経過するとともに減少した。 2.フッ素徐放性のないコントロールに比べてフッ素徐放性材料を用いることによって脱灰象牙質の再石灰化は促進された。しかし、フッ素の徐放量は再石灰化の程度に影響しなかった。
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