2007 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質コラーゲンの加水分解を最小にする接着手法の開発
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18791401
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西谷 佳浩 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60325123)
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Keywords | 象牙質 / 象牙質接着 / 象牙質コラーゲン |
Research Abstract |
前年度試作した2ステップセルフエッチングプライマーを用いて,1日から300日間水中浸漬後の象牙質MMP活性ならびに象牙質引張り強さを測定した.すなわち親水性の異なるセルフエッチングプライマーとしてHEMAを56wt%,40wt%,0wt%を配合するプライマーをそれぞれP1,P2,P3とし,べースモノマーにはBis-GMAおよびTEGDMAを配合した.全てのプライマーに接着性モノマーであるMDP,光硬化剤としてカンファーキノン,ジメチルアミノエチルメタクリレートを同量配合し,エタノール水溶液を溶媒として加えた.ボンディングレジンについてはHEMAを含まないものをB1とし,HEMA30wt%を配合したものをB2とした.これらを組み合わせることによってP1B1,P1B2,P2B1,P2B2,P3B1,P2B2の6条件とした. 1.象牙質MMP活性 無処理の象牙質の活性値264.8(RFU 80mg^<-1>)は全てのプライマー処理によって10倍以上の活性値を示した.これらをボンディングレジンでコーティングすることによって活性値は無処理の象牙質よりも低い値を示した.HEMAを多く含むP1B2およびP2B2は水中浸漬後60日までに活性値が増加する傾向を示すものの,90日以降では減少し300日後では有意に低かった. 2.象牙質引張り強さ HEMAを多く含むP1B2は24時間後に6条件中最も高い49.4MPaを示す一方で,300日後で28.8MPaとなり有意に低下した.その他の条件では有意な低下を認めなかった. 以上のことから,HEMAを多く含む接着システムでは,初期の接着強さは優れた値を示すものの,吸水性が高くポリマーの脆弱化を引き起こすこと,さらに象牙質のMMP活性を早期に活性化させる可能性が示唆された.
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