2008 Fiscal Year Annual Research Report
象牙質コラーゲンの加水分解を最小にする接着手法の開発
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18791401
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西谷 佳浩 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60325123)
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Keywords | 象牙質 / 象牙質接着 / 象牙質コラーゲン |
Research Abstract |
本年度は、試作した2ステップセルフエッチングプライマーを用いて, 600日間までの水中浸漬後の象牙質MMP活性ならびに象牙質引張り接着強さを測定した. さらに、長期間安定した強固な接着力を有し, かつMMP活性を抑制する接着システムについて検討した. 1. 象牙質MMP活性 無処理の象牙質の活性値264.8(RFU 80mg-1)は全てのプライマー処理によって10倍以上の活性値を示した. これらをボンディングレジンでコーティングすることによって活性値は無処理の象牙質よりも低い値を示した. HEMAを多く含むP1B2およびP2B2は水中浸漬後60日までに活性値が増加する傾向を示すものの, 90日以降では減少し300日および600日後では有意に低かった. 2. 象牙質引張り強さ HEMAを多く含むP1B2は24時間後に6条件中最も高い49.4MPaを示す一方で, 300日後で28.8MPaとなり有意に低下し, 600日後には20.3MPaであった. その他の条件では300日以降600日までで有意な低下を認めなかった. HEMAを多く含む接着システムでは, 初期の接着強さは優れた値を示すものの, 高い吸水性を有する結果, 長期間にわたりポリマーの脆弱化を引き起こすことが示唆された. ざらに象牙質のMMP活性は酸処理後の数ヶ月以内に活性値が上昇するものの, 90日以降は減少する傾向を示し, その後600日後までの減少は緩やかであったことから, 象牙質接合界面に加水分解を容易に引き起こすタイミングが存在すると考えられた. 以上のことから, 象牙質コラーゲンの加水分解を最小にする接着システムにはHEMAフリーであることがMMP活性および長期水中浸漬後の接着強さの両方において有利である一方, HEMAを配合しないことによる初期接着強さの低下を補完する方策としては, 現在のところエタノールを応用したウェットボンディングシステムが最も効果的である.
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