2006 Fiscal Year Annual Research Report
天然生理活性素材による間葉系幹細胞の骨芽細胞への分化に関連する遺伝子群の解析
Project/Area Number |
18791404
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
山田 志津香 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (00363458)
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 骨芽細胞 / 分化 / アルカリフォスファターゼ / キトサン |
Research Abstract |
本年度は、当教室に現有する間葉系幹細胞(MSC細胞)を用いて、培地に水溶性キトサンを添加し骨芽細胞分化に関する影響を調査した。今回の実験ではキトサンモノマー(分子量;約210Da)を用いた。これを0.1%酢酸溶液で溶解し、pHを7.2に調整後、濾過滅菌した。その後、以前、株化骨芽細胞における石灰化誘導実験で至適濃度であった0.005%となるように、DMEMに添加した。 まず、骨芽細胞分化の初期に発現するアルカリフォスファターゼ(ALP)を指標として、その活性を4群(コントロール群;DMEM+FGFで培養した群<Crl>、骨誘導分化培地群;DMEM+FGF+デキサメタゾン+βグリセロリン酸<Ost>、キトサン群;DMEM+FGF+キトサン<Chi>、骨誘導分化培地+キトサン群;DMEM+FGF+デキサメタゾン+βグリセロリン酸+キトサン<Ost+Chi>)において測定した。6well皿に1×10^5cells/well播種後、コンフルエントになった培養3日目から上述した培地で各群を培養し、14,21,28日目にALP活性と、micro-Lowry法を用いて総蛋白量を測定した。その結果、14日目のALP活性は、Crl,Ost,Chi,Ost+Chiにおいて、各々、0.199,0.690,0.169,0.607μmol pNPP/mg protein/minであった。OstとOst+Chi間、CrlとChi間では有意差を認めず、キトサンが骨芽細胞誘導を阻害しないことがわかった。21,28日目においても14日目の群間と同様の傾向を示した。また、14日目に行ったアリザリンレッド染色実験では、OstとOst+Chiは赤染したが、OstとOst+Chi間、CrlとChi間に染色の差は見られなかった。今後は分子量の異なるキトサン(オリゴマー、ポリマー)を用いてMSC細胞に与える影響を検討していく。
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