2006 Fiscal Year Annual Research Report
咬合力や温度変化が歯頚部コンポジットレジン修復に及ぼす影響
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18791405
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
横田 広彰 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (90301366)
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Keywords | 歯頸部コンポジットレジン修復 / 窩洞形態 / 異常咬合 / 応力分布 / 有限要素解析 |
Research Abstract |
これまでに、唇舌方向に繰り返し荷重を負荷したとき、W型窩洞では歯頂側エナメル質窩緑の封鎖性が劣化し、U型窩洞では歯肉側象牙質窩縁の封鎖性が劣化したことを報告し、咬合力によって生じる応力が辺縁漏洩パターンに影響していると推察された。今年度は荷重を負荷した場合の歯頸部コンポジットレジン修復の接着界面に生じる応力分布について2次元の有限要素解析を行い検討した。まず、2種類の歯頸部窩洞を有する有限要素モデル(W型、U型)を作製した。解析に使用したエナメル質、象牙質およびコンポジットレジンのヤング率、ポアソン比は、それぞれ41.4,18.6,10.0GPa、0.3,0.3,0.3とした。なお、歯髄は、そのヤング率がエナメル質や象牙質に比べとても小さいので、空隙とした。その後、要素分割は線形8節点四辺形にて実行し、接着界面周囲はさらに細かく分割した。W型窩洞とU型窩洞は、それぞれ3,047,4,016節点と907,1,289要素から構成される。2つの解析モデルは、修復物の歯肉側窩縁の2mm下の歯根部をX方向、Y方向とも固定し、歯の切縁が1mm唇舌方向に変位するよう荷重を与えて解析を行った。唇舌方向の変位に伴う変形は、各材質において均一性、等方性を示すものと仮定した。まず、解析モデルにおいて荷重を負荷したときの歯牙全体の応力分布を出力した。さらに、窩壁とコンポジットレジンの間の接着界面に生じた応力の垂直成分と剪断成分が計算された。W型窩洞の応力分布は、窩洞周囲を除いて、U型窩洞とほとんど同じ分布を示した。W型窩洞の歯頂側壁に生じた引張応力は、歯肉側壁よりも大きかった。一方、U型窩洞の歯肉側に生じた引張応力は、歯頂側よりもとても大きかった。従って、荷重によって接着界面に生じた応力分布は窩洞形態に依存し、さらに接着界面上に生じた応力の垂直成分(特に引張応力)が大きく関与していることが明らかとなった。
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