2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791418
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正敏 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (50400255)
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Keywords | チタン合金 / 歯科用合金 / 抗菌性 / 制菌性 / 耐食性 / 歯科修復物 / 歯科補綴物 / チタン銀合金 |
Research Abstract |
生体適合性に優れ、かつ口腔内細菌に対する制菌作用を兼ね備えた新しい歯科生体材料の開発を目的とし、チタン銀合金を設計、試作した。平成18年度は試作チタン銀合金のアノード分極曲線の測定を行い、電気化学的腐食挙動を調べ、チタンの優れた耐食性を維持することのできるチタン銀合金の組成範囲を明らかにした。また耐食性の良好であったチタン銀合金について、制菌性を評価するための実験方法を検討した。 アノード分極曲線の測定:0.9%NaCl水溶液と1%乳酸水溶液における試作チタン銀合金(〜40mass%Ag)のアノード分極曲線の測定を行い、組成により耐食性が変化する機構について金属組織学的に検討した。その結果、α単相のチタン銀合金(〜17.5mass%Ag)はいずれの溶液でも純チタンに準ずる耐食性を持つことが分かった。銀添加量が増加すると、固溶限を超えた銀が金属間化合物Ti_2AgまたはTi_2Ag+TiAgとしてαチタンの結晶粒界部にわずかに析出した。それら金属間化合物は0.9%NaCl水溶液中で低電位溶解を示したが、α+Ti_2Agのチタン銀合金(20〜25mass%Ag)は表面のTi_2Agが溶解した後すぐに再不動態化するため、耐食性はチタンより若干低下する程度と考えられた。1%乳酸水溶液中ではTi_2Agは溶解しなかったが、TiAgは優先溶解した。 制菌性試験:耐食性の良好であった試作チタン銀合金(20,25mass%Ag)のS.mutans菌への制菌性調べるため、ハロー法で評価した。その結果、明確な生育阻止円は観察されなかったが、試料接触面に菌の生育が見られなかった。このことから、チタン銀合金は制菌性を有する可能性が高く、フィルム密着法による評価がより有効と考え、現在検討している。
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