2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791418
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 正敏 Tohoku University, 大学院・歯学研究科, 助教 (50400255)
|
Keywords | チタン合金 / 歯科用合金 / 抗菌性 / 制菌性 / 耐食性 / 歯科修復物 / 歯科補綴物 / チタン銀合金 |
Research Abstract |
生体適合性に優れ、かつ口腔内細菌に対する制菌作用を兼ね備えた新しい歯科生体材料の開発を目的とし、チタン銀合金を設計、試作した。平成19年度は、前年度のアノード分極試験で耐食性の良好であったチタン銀合金(5〜25mass%Ag)の溶出試験と自然電極電位の測定を行った。チタン銀合金のα相および金属間化合物から溶出するイオン量を調べることで、耐食性を溶出イオンの面から評価した。また、齲蝕原性細菌(Streptococcus mutans)をチタン銀合金上でフィルム密着法により培養し、その後に試験菌を洗い出し、10倍希釈法で生菌数を求めた。純チタンや純銀の結果と比較し、チタン銀合金のS.mutans菌に対する制菌性を評価した。 耐食性:0.9%NaCl水溶液では、チタン銀合金(5〜20mass%Ag)からはいずれの溶出イオンも検出されなかった。22.5mass%Agと25mass%Agのいくつかの試料ではTiAgが優先溶解したが、その溶出イオン量は従来の歯科用合金から溶出するイオン量よりはるかに少なかった。1%乳酸水溶液ではAgの添加によりα相からのTiイオンの溶出が抑制された。溶出イオンの面からも、チタン銀合金の耐食性は良好であることが分かった。自然電極電位の結果から、特にチタン銀合金(5〜20mass%Ag)の耐食性は純チタンと同等以上であると考えられた。 制菌性:フィルム密着法によるS.mutans菌への制菌性試験で、25mass%Ag合金における生菌数は純チタンと比較して相対的に減少していた。純銀における生菌数は0であった。Ag添加の効果により、チタン銀・合金は細菌の増殖を抑制している可能性が示唆された。制菌性の評価方法としてフィルム密着法は有効であると考えられた。
|