2008 Fiscal Year Annual Research Report
補綴物の材料および合着用セメントの違いが水平歯根破折に及ぼす影響
Project/Area Number |
18791426
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
岡田 大蔵 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (80323690)
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Keywords | 歯根破折 / 応力 / セメント / 有限要素法 / 支台築造 |
Research Abstract |
失活歯に対して支台を補強するために従来は金銀パラジウム合金をはじめとする鋳造ポストが主に使用されていた。しかしながら近年では時に重篤な歯根の縦破折を生じることがあるとされ、この一因として歯根象牙質と金属築造体との間の弾性係数が大きく異なることが指摘されている。そこで縦破折の危険性を減ずるために弾性係数が歯根象牙質に近いファイバーポストとコンポジットレジンを併用した支台築造法が新たに開発された。これにより縦破折の可能性は減ってきたが逆に機械的強度が金属より劣るため金属築造体よりも小さい破壊強度にて水平破折が生じることが明らかとなっている。現在は支台築造法にのみ焦点が置かれ研究が進行しているが、水平歯根破折の原因は当然ながら歯頚部に応力が集中することから生じ、この部位において歯冠補綴物は歯質、築造体、セメント、クラウンの4者が密接に関連していることから、セメント、クラウンに関しても研究が行われる必要があると考えられる。そこで、本研究において、セメントはコンポジット系、MMA系のレジンセメント2種類、最終補綴物はハイブリッド強化型硬質レジン、オールセラミックス、金属冠の3種類に変化させ、抜去歯を用いだ実験と有限要素法を用いた研究の両面から検討を加えた。結果はセメントに関しては、築造体、最終補綴物に比較してかなり低い弾性係数を有するMMA系レジンより、コンポジット系レジンセメントの方がより歯根歯頚部に低い応力分布状態となり、模型実験に関しても同等な結果が得られた。一方最終補綴物の材質は象牙質により近い弾性係数を有するハイブリッド強化型硬質レジンが最も水平破折を生じにくいことが示唆された。
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