2007 Fiscal Year Annual Research Report
嚥下位と嚥下音との相関に関する研究-嚥下補助床作製への頚部聴診の導入に向けて
Project/Area Number |
18791437
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
沖 和広 Okayama University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00346454)
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Keywords | 嚥下位 / 嚥下音 / 頚部聴診 |
Research Abstract |
嚥下運動時に生じる喉頭挙上は,咬合支持による下顎位の安定によって円滑に行うことができる.したがって,嚥下時の下顎位(以下,嚥下位)は,歯科疾患により咬合支持を喪失した患者の顎間関係回復において重要視しなければならないものの,嚥下位の採得は臨床的操作が煩雑であり多用されているとはいえない.本研究は,嚥下運動時に生じる嚥下音を嚥下位採得に臨床応用することをねらいとして,嚥下位と嚥下音との関連を検討することを目的とした.被験者は歯の喪失を有さない3名の成人(男性2名,女性1名)とした.臼歯部咬合高経を挙上した状態を維持するための可撤性前歯部ジグを各被験者に対して作製した.ジグによる咬合挙上量は大臼歯部においてそれぞれ5mm,3mmおよび1mmの3種類とし,各ジグ装着時およびジグ非装着時において水10mlの嚥下を5回ずつ行わせ嚥下音の採取を行った.嚥下音の採取は,輪状軟骨直下気管外側上の皮膚のうち右側からは加速度ピックアップ,左側からは聴診器により行った.増幅後データレコーダに記録した嚥下音に対して,フーリエ変換による周波数解析を行った.ジグ非装着時および各ジグ装着時の周波数の比較は,シェッフェ法による多重比較検定によって行った.加速度ピックアップより採取した嚥下音の周波数に関しては,ジグ装着5mm咬合挙上時には他のすべての状態に対して有意に高い周波数を示す嚥下音が算出された.一方,聴診器より採取した嚥下音の周波数に関しては,いずれの状態間においても有意差は認めなかった,本研究の結果から,嚥下音の周波数解析には加速度ピックアップを使用することが有効であることが確認された.加えて,中心咬合位から下顎位を3mm拳上する範囲内であれば音響学的有意差がみられないことから,嚥下位は必ずしも定位ではないことが明らかとなった.
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