2006 Fiscal Year Annual Research Report
ティッシュエンジニアリングを応用した審美的・機能的インプラント周囲組織の構築
Project/Area Number |
18791444
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
熱田 生 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (30423487)
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Keywords | 歯科インプラント学 / ティッシュエンジニアリング / 組織再生 |
Research Abstract |
本研究は、歯の周囲に存在する組織構造をチタン製インプラントの周囲に構築し、機能だけでなく審美面でも歯周組織に近似させようとするものである。現在ではインプラントの研究は進み、1インプラント周囲の組織構造が天然歯のそれに類似していることはすでに示している(Biomaterials;2005に掲載)。しかし、インプラント周囲付着上皮の低接着性(Biomaterials;2005に掲載)、骨の非生理的な吸収などが認められ、これが特に審美性低下の原因と考えられるようになってきている(Campelo et al.2002)。一方では、幹細胞や成長因子のような生理活性物質を人工材料に組み込み、特定の組織を再生させる技術であるティッシュ・エンジニアリング(組織工学)の研究も進み、歯周組織の再生もある程度確立されている。事実、口腔粘膜(Randalletal.1998)や歯根膜の再生(Ueda et al.1995)、また骨再生を目的としたBMP(Thies et al.1992)やPRP添加(Namiki et al.1997)などは既に試験的な臨床応用がなされている技術である。 現在インプラント臨床の場で普及しつつある「プラットホームスイッチングシステム」を応用、より周囲組織にとって再生しやすい環境を作っている。実際にはプラットホームスイッチ部の深度や幅を組み合わせによる4群に分け、一番優れた形状を検索した。 現在その結果は、2007年の5回アジア補綴科学会(AAP)で発表予定である。また上皮接着を高めるであろうインシュリン様成長因子(IGF-1)を定期的に添加し、上皮封鎖性の向上および周囲組織の修復能の上昇を確認しており、この結果は2006年九州大学における再生シンポジウムにて発表している。 今後は当初の予定通りそれぞれの組織再生のタイミングに着口し研究を続けこれらの研究を組み合わせ、上皮と骨の双方を適切なタイミングで、適切に再生させることで、患者の治癒能力だけに頼らない、術者側でコントロールできる審美的にも機能的にも優れたインプラント周囲組織の構築が期待できる。
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