2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791469
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
都築 尊 Fukuoka Dental College, 歯学部, 講師 (70330967)
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Keywords | 歯学 / 咬合性外傷 / 修復 / 非外科的 |
Research Abstract |
これまでに、歯の過剰負荷に対する細胞間情報伝達を検討すべく、早期接触を与える動物モデルや、歯の矯正移動モデルが検討されてきた。しかしながら歯の過剰負荷に対する細胞間情報伝達についてはいまだ不明な点が多い。今回我々は、臼歯に早期接触部を製作した過剰咬合モデル動物を使用し、過剰咬合における歯根膜細胞外基質の局在について組織学的検討を行なった。 本過剰咬合モデルを用いて、下顎第1臼歯の前頭断での組織学的検討を行なった。頬側の歯槽骨においては、活発な骨リモデリングが観察された。本モデルで過剰咬合を与えることにより、TRAP(+)細胞が分岐部と舌側に集中した。これは臼歯の咬耗を考えると、咬合力が舌側に集中し頬側が牽引側、舌側が圧迫側になったと考えられた。 すべての観察部位において、I型コラーゲンは細胞間に存在し、過剰負荷期間を経て、局在に大きな変化は観察されなかった。 一方X II型コラーゲンは、dayO群では規則的な線維の走行や細胞周囲の特異的な局在は観察されなかったが、経日的に局在が変化した。 頬側歯頚部においては、day2以降より細胞周囲に局在が観察された。分岐部と舌側歯頚部においては、day4以降より細胞周囲の局在が観察された。 矯正移動モデルにおいて、牽引側のPDLがX II型コラーゲンmRNAを発現することが報告されており、その構造や分布から、X II型コラーゲンは結合組織の安定、恒常性維持の役割をもつことが示唆されている。今回、圧迫側と牽引側でX II型コラーゲンの局在変化に時間差があったことは、PDLが負荷のかかり方を感知し、タンパクの局在を変化させている可能性を示唆している。今回、歯に対する過剰な負荷によって、X II型コラーゲンのタンパク局在が変化することがわかった。今後本モデルを用いて、X II型コラーゲンが歯根膜の修復に関わるとの証拠を集めていく所存である。
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