2006 Fiscal Year Annual Research Report
窒素含有ビスホスホネートの骨組織における炎症作用:マウスモデルによる検討
Project/Area Number |
18791475
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 晃史 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (10372319)
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Keywords | 骨吸収抑制 / LPS / IL-1 |
Research Abstract |
1,窒素含有bisphosphonates (N-BPs)による顎骨壊死のマウスモデルによる検討(LPSによる増強およびnon-N-BPのclodronateによる抑制):N-BPsは強力な骨吸収抑制であり骨吸収の亢進を伴う疾患に広く応用されている.N-BPsが発熱などの炎症性副作用をもつことは以前より知られている.我々はこの細胞のないマウスでもN-BPsは炎症を誘導すること,N-BPsと免疫刺激物質は相互に炎症反応を増強すること,non-N-BPのclodronateがこの炎症を抑制すること等を以前報告した.今回はN-BPsの壊死作用をマウスで検討した.N-BPs溶液をマウス耳介に投与すると,濃度に依存して,検討したN-BPsはいずれも壊死を誘導した.壊死作用は骨吸収抑制作用とパラレルであった.LPSはN-BPsの壊死作用を促進・増強した.clodronateとN-BPsを併用投与することにより,壊死は顕著に抑制された.以上の結果は,以下を示唆する.(1)本実験系はN-BPsの壊死作用を解析するモデルとなる.(2)N-BPsの壊死作用には細菌感染が関与する.(3)N-BPsの炎症作用にVγ2Vδ2T細胞は必須ではない.(4)clodronateとの併用投与が顎骨壊死を予防する可能性がある. (第36回日本免疫学会2006発表) 2,臨床における窒素含有ビスホスホネート製剤が原因と考えられる下顎骨壊死の一例(発症機序と予防に関する検討):NBPsには炎症性の副作用が知られていたが,臨床応用の過程で予想外の副作用が明6かになった.顎骨壊死とそれによる顎骨の露出である.我々は,乳癌とその骨転移をもつ患者における下顎骨壊死の1症例を経験したので,我々の基礎研究における最近の成果をもとに,顎骨壊死発症機序とその予防についても考察した.(1)NBPsによる骨壊死の報告のほとんどが顎骨である.(2)NBPsとLPSは相互に炎症作用を増強し合う.以上のことより顎骨壊死は口腔内最近の関与が示唆される.癌治療医は歯科医との連携が重要である.(日本口腔外科学会雑誌 投稿中)
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