2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯科心身症で発症する身体症状への心理的因子の関与の立証とその定量的測定の試み
Project/Area Number |
18791487
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (50323978)
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Keywords | 歯科心身症 / 心理テスト / 自律神経系活動解析 |
Research Abstract |
顎顔面口腔領域における心身症、いわゆる歯科心身症患者に発症する身体症状に対する心理的因子の関与の立証とその定量的測定を目的として、研究1年目の本年度は、あらかじめ書面と口頭にて十分に本研究の趣旨を説明し、同意が得られ同意書を作成した健常ボランティア・患者(年齢20〜65歳)を調査対象とし、一般身体感覚測定・疼痛閾値試験、各種心理テストの施行に加え、安静時の持続的非観血的循環動態測定、持続的自律神経系活動解析を行った。身体症状の検索には、触覚・圧覚・痛覚・温度感覚などの一般感覚検査に加え、ニューロメーターTM(東洋メディック社製)を用い、詳細な疼痛負荷試験・疼痛閾値試験を合わせて測定した。心理テストには不安・抑うつ・心気傾向をHospital Anxiety and Depression Scale(以下、HADs)、Somatosensory Amplifcation Scale(以下、SSAS)、Self Rating Questionnaire for Depression(以下、SRQD)の各種調査用紙を用いて調査した。さらに持続的非観血的循環動態測定には生体モニターBP-608(コーリン社製)、持続的自律神経系活動解析には解析ソフトメムカルク(GMS社製)を用いて調査した。なお本年度は、心理的負荷試験時との比較検討の準備のため、同一患者への複数回(2〜3回)の安静時調査を主体に調査を施行した。その結果、心理テストで不安状態の高い被検者は、疼痛閾値が比較的低く、循環動態も変動しやすく、さらに自律神経系活動において交感神経系活動が高い可能性が示唆された。しかし心理テストの抑うつや心気傾向は疼痛閾値、循環動態や自律神経系活動との間に明らかな相関関係をみとめなかった。本年度の調査結果から、同一患者の安静時自律神経系活動は変動が大きく、基準値決定のためにはより多くの調査回数での判定が必要であることが明らかになったことから、研究2年目の来年度には心理的負荷時だけでなく安静時の調査も多くの回数の調査を施行し、患者毎の安静時の数値の決定と心理的負荷時の調査結果との比較検討を進める予定である。
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