Research Abstract |
山口大学医学部附属病院にて加療を行った口腔扁平上皮癌一次症例50例から採取した凍結標本を実験に供し,腫瘍細胞を選択的に回収しDNAを抽出した.MAC array^<TM> Karyo 4K (Macrogen, Korea)を用いて解析を行った.また,臨床病理学的特徴とDNAコピー数異常の相関性に関し統計学的検討を行った.DNAコピー数の増加が3q,5p,7p,8q,9q,11q,16pおよび20領域に高頻度に検出され,DNAコピー数の減少が3p,4q,18qおよび22q領域に検出された.増幅は7p,11q,13qおよびXq領域に再現性を有して検出された.8q24.3領域のコピー数増加が90%以上の症例に検出されOSCCの発生に関与する可能性が示唆された.同領域は,以前の報告で口腔扁平上皮癌の関連遺伝子とされているc-MYC遺伝子が位置する領域よりさらにterminal region付近に位置しており,同領域には口腔扁平上皮癌の新規関連遺伝子が位置していると考えられた.候補遺伝子はHSF1,DGAT1,FBXL6などである.さらに,3q27のコピー数増加や3p14および16p13のコピー数減少は頸部リンパ節転移と有意な相関していた.Array-based CGH法を用いることにより,口腔扁平上皮癌に生じるDNAコピー数の異常を網羅的に検討することが可能であり,口腔扁平上皮癌のmolecular markerを検索する上で有用と考えられた.
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