2006 Fiscal Year Annual Research Report
分離唾液腺幹細胞の再構築による唾液腺再生療法の開発
Project/Area Number |
18791505
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
平木 昭光 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 講師 (60404034)
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Keywords | 再生医学 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 唾液腺 |
Research Abstract |
平成18年度 (1)マウス唾液腺より分離・培養した唾液腺幹細胞から唾液腺を再構築し、唾液の産生・排出能について、形態形成因子、細胞増殖因子、細胞間接着装置、細胞外基質の影響を検討する。 1)再構築唾液腺の形態的検討 口腔癌の手術時に摘出された唾液腺組織から、各種の成長因子を添加した低Ca(0.2mM)無血清培地を用いて、唾液腺上皮細胞のみを抽出し、単層培養を可能にした。その細胞は立方形で敷石状に配列し、透過型電子顕微鏡を用いた観察では、細胞内小器官に乏しい未分化な細胞であった。培地のCa濃度を1mM(高Ca無血清培地)に上昇させることによって、唾液腺上皮細胞は腺管様構造を形成し、超微形態的には粗面小胞体やゴルジ装置などの細胞内小器官は発達するとともに、分泌顆粒の増加を認めた。 2)再構築唾液腺の機能的検討 高Ca無血清培地にて培養を行うと、腺管様構造を示した唾液腺上皮細胞の唾液アミラーゼ遺伝子発現は増加した(Northern blot法)。また細胞内および培養上清中の唾液アミラーゼ蛋白量も増加した(免疫組織染色、ELISA法、Western blot法)。 3)再構築唾液腺の機能促進因子の検討 唾液腺上皮細胞の腺管様構造形成における、細胞増殖因子(EGF、HGF、FGF family)、形態形成因子(TGF-β、Shh)、細胞外基質(I・IV型コラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン)の関与を検討した。細胞外基質上で培養することによって、導管構造の伸展と分枝数の増加が促進された。HGFによる細胞刺激でも同様の現象が観察された。またその際に、細胞間接着装置(デスモプラキン、デスモグレイン、デスモコリン)の著明な増加が認められており、細胞接着の重要性が示唆された。
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