2006 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症におけるルミカンとファイブロモデュリンの役割
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18791513
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
山口 昭彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50423942)
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Keywords | 顎関節症 / 顎関節円板 / ルミカン / ファイブロモデュリン / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
低分子のケラタン硫酸プロテオグリカンであるルミカンとファイブロモデュリンはSLRP(スモールロイシンリッチプロテオグリカン)グループに属し、コラーゲンの同じ部位に結合して全身の様々な結合組織において機能しているが、これらの構成バランスが崩れた場合には変形性関節症の一因になると考えられている。 今回、顎関節におけるルミカンとファイブロモデュリンの役割を明らかにするために8週齢ウィスター系ラット20匹を実験群10匹、対照群10匹として用いた。実験群では上顎の片側のみ前歯および臼歯を抜歯し抜歯後2ヶ月、4ヶ月における抜歯側、非抜歯側、対照群の顎関節円板の変化をルミカンとファイブロモデュリンの抗体を用いた間接酵素抗体法による免疫組織化学的検討を加えた。 その結果、ルミカンは関節円板の前方および後方の周囲結合組織への移行部位に強く局在し、逆にファイブロモデュリンは顎関節円板の前方肥厚部、中間部、後方肥厚部の連続した円板実質内に強く局在していた。この局在はどの群においても同じ様相を示していた。しかし、抜歯側、非抜歯側、対照群間のルミカンとファイブロモデュリンの発現の偏位は認めなかった。 以上の結果より、ルミカンとファイブロモデュリンがそれぞれ顎関節円板の機能において異なった役割を果たしている事が示唆された。また、今回のラットを使用した研究では、抜歯による有為な差異を認める所見は確認できなかった。今後は、重篤なヒト額関節症の患者から摘出した病的な顎関節円板におけるルミカンとファイブロモデュリンの局在について免疫組織化学的および細胞生物学的研究を展開していく。
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