2006 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経制御の観点に立った骨リモデリングにおける生物時計の関わりの解析
Project/Area Number |
18791517
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 毅 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (60406494)
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Keywords | 骨芽細胞 / アセチルコリン / ニコチン / cyclinD1 / Src / 副交感神経 |
Research Abstract |
平成18年度の計画では骨芽細胞に対する副交感神経系の神経伝達物質の作用についてin vitroでの検討を行う予定であった。骨芽細胞様細胞株であるMC3T3-E1にアセチルコリンを作用させたところ細胞増殖が引き起こされた。さらに、ニコチンを作用させたところ同様に細胞増殖が引き起こされた。これらのリガンドに対する受容体について各種阻害剤を用いて検討したところ、ニコチン性アセチルコリン受容体α7サブユニットを介していることが明らかとなった。MC3T3-Elはα7サブユニットmRNAを発現しておらず、アセチルコリンおよびニコチンによってmRNAが誘導された。次に増殖作用を引き起こす細胞内シグナル伝達機構について解析した。ニコチンは他種の細胞に対して増殖作用を引き起こすことが知られており、細胞内シグナル分子として、cyclinD1、SrcおよびMAPKカスケードの分子などが関与しているという報告がある。そこで、cyclinD1の発現を検討したところ、発現が上昇していた。さらに、Src阻害剤により増殖が抑制されたことから、Srcの関与が示唆された。また、MAPKカスケード阻害剤により増殖は完全に抑制はされなかったが、経路の一部を担っていると考えられる。アセチルコリンについて同様の実験を行ったところ、一部同様の結果が得られており現在解析をすすめている。以上のように副交感神経系の神経伝達物質は骨芽細胞の増殖を引き起こすことが明らかとなった。今後シグナル伝達機構のさらなる解析とin vivoにおける実験を行っていく予定である。
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