2007 Fiscal Year Annual Research Report
顎顔面骨格形態形成におけるPGC-1遺伝子の果たす役割の分子発生学的解析
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18791544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
台丸谷 隆慶 Tohoku University, 病院, 助教 (20333825)
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Keywords | PGC-1遺伝子 / PPARδ / 顎顔面形態形成 / 筋線維組成 / Long face / 遅筋と遅筋 |
Research Abstract |
人間の顔は硬組織(骨)と軟組織(皮膚、筋肉)によってそのパターン形成は制御されていると考えられる。特に骨格筋の組成において遅筋線維と速筋線維の割合は先天的に決定されている事が知られている。それは同時に筋の性質と機能が決定されている事につながり、顔面骨格の成長にも大きく影響するものと考えられる。本研究では、PGC-1α遺伝子発現の増強に関与するPPARδアゴニスト(GW501516)を生後5週齢のラットに3%アラビアゴムに混ぜて3mg/10ml/kgの割合で4週間にわたって経口投与した。研究結果として、体重増加および咬筋の湿重量についてコントロール群(3%アラビアゴムのみ投与)と実験群との間に有意な差は認められなかった。咬筋における各種筋線維組成についてMHCI,MHCIIa,MHCIIb等のmRNA発現について調べたところ実験群において遅筋線維に特有なMHCIの発現増加と速筋線維に特有なMHCIIa,bの減少が認められた。また頚骨の長さについて2群間を比較したところ実験群の方が有意に短い結果が得られた。現在、腓腹筋やヒラメ筋についてmRNA解析を行っている。顎顔面形態について側面セファロ撮影を行い形態測定を行った結果、線計測においては顔面長、下顎枝長が実験群で有意に短く、角度計測については下顎角が開大し、下顎前歯の舌側傾斜が認められた。下顎頭の脱灰組織標本を作製して組織学的評価を行ったところ、下顎頭については廃用性萎縮や成長障害等の組織像は確認できなかった。以上の事から、咀嚼筋筋線維組成が遅筋優位になると持久力は増加するが筋力自体は減少する(速筋に比較して)事で下顎の成長に対して局所的なサイズの減少化を引き起こすのではないかと考えている。以上の結果より成長過程においてPGC-1遺伝子発現を増強する事が知られているPPARδアゴニストを投与すると筋線維組成が遅筋優位の組成に変わる事が分かった。またその事でラット顎顔面形態は人間で言うところのLong face顔貌へと変わることから、顎顔面形態形成において筋線維組成は重要な役割を果たし、遅筋優位である事と顔面形態がLong faceへと成長する事の関連性が示唆された。
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Research Products
(2 results)