2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子生物学的アプローチを用いた家族性多数歯欠損の原因解明
Project/Area Number |
18791546
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小川 卓也 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (50401360)
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Keywords | Pax9 / Msx1 / 多数歯欠損 / 転写因子 |
Research Abstract |
Non-syndoromicに家族性に引き起こされる歯牙欠損は顎顔面領域に見られる最も頻度の高いanomalyの一つである。特に歯牙欠損が多数にわたると、咀噛、発音、摂食といった口腔機能に影響を与え、咬合機能の改善のためには、治療内容が複雑になるため、治療期間の延長・費用の増大など患者サイドにさまざまな障害を引き起こす。近年、転写因子であるMSX1、PAX9の変異によって常染色体性優性に家族性に多数歯欠損が引き起こされることが報告され、その二つのタンパクが相互に結合することが明らかにされた。本課題は、それら二つの転写因子だけでなく、その他の転写因子も含めたネットワークを構築することで、多数歯欠損を引き起こす原因の解明を目的としている。そのため、今年度は、 (1)Pax9やMsx1が調節していると考えられているBmp4のpromoter領域を組み込んだluciferase geneを用い、reporter assayを行った。Pax9単独では、Bmp4のpromoterの活性を増幅することが出来たが、Msx1単独では、その活性を増幅することが出来なかった。Pax9とMsx1を相互に作用させると、Pax9単独よりさらにその活性を上げることが出来た。 (2)常染色体性優性に家族性に多数歯欠損を引き起こす変異をもったPax9タンパク(L21P)を精製してMsx1との相互作用を検索した結果、相互のタンパク間の結合は認められたが、Bmp4のpromoterの活性を上げることが出来なかった。 以上のことより、家族性に多数歯欠損を引き起こすとされる原因遺伝子のPax9とMsx1の相互作用によって、Bmp4の発現が調節されていることが示唆された。今後は、Pax9とMsx1の相互結合に重要な領域、また、他の因子との関連を検索予定である。
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