2007 Fiscal Year Annual Research Report
血管新生抑制因子PEDFの細胞外マトリックス受容体の同定
Project/Area Number |
18791547
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
細道 純 Tokyo Medical and Dental University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00420258)
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Keywords | 歯周組織 / 咬合機能 / 恒常性 / 歯牙移植 / 治癒 / リモデリング |
Research Abstract |
歯周組織の再生は歯科領城において重要なテーマである。とりわけ矯正領域において、咬合刺激を介して歯周組織の治癒およびリモデリングが促進されることが明らかになっている。また、欠損歯への臨床的アプローチとして、自家歯牙移植が注目されているが、根完成歯においては歯根吸収や骨性癒着などの好ましくない予後があり、その予防が求められる。これまでの歯周組織の研究により、歯根膜の恒常性の維持にはさまざまなサイトカインや増殖因子が関与していることが報告されている。歯根膜細胞の増殖因子として、インスリン様増殖因子(Insulin like growth factors、IGFs)や塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factors、bFGF)があり、歯根膜の治癒を促進することが知られている。これらの因子の作用機序のひとつとして、細胞外マトリックスとの相互作用がある。これまでの研究から、適度な咬合刺激により歯根膜の解剖学的構造が保たれ、移植歯の治癒過程においては歯根吸収や骨性癒着を抑制することが知られている。したがって、咬合刺激により、さまざまな増殖因子の発現が上昇し、歯周組織の治癒およびリモデリングが促され、恒常性が維持されると予想される。第1の研究として、ラット咬合機能低下モデルを作製し、IGF-1/IGF-1受容体を介した咬合刺激による歯根膜恒常性の維持について検討した。その結果、咬合機能低下により、歯根膜内のIGF-1およびIGF-1受容体の発現量は減少し、咬合機能を回復させると、それらの発現量は回復する。また、IGF-1および-1受容体の発現量の変化に相関して、細胞増殖抗原PCNAの発現量は変化を示し、咬合刺激によるIGF-1/IGF-1受容体の発現調節と歯根膜細胞の増殖との関与が示唆された。第2の研究として、ラット再植歯モデルを作製し、咬合刺激にともなうbFGFの発現パターンの変化と歯根膜治癒について検討した。その結果、移植歯においても、適度な咬合刺激が移植歯歯根膜の治癒を促し歯根吸収や骨性癒着を減少させ、このときbFGFの発現量が増加していることが明らかとなった。したがって、咬合刺激が液性因子の発現調節を介して歯周組織の治癒およびリモデリングに影響し、恒常性に関与していることが示唆された。
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