2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー・ドップラー式血流画像化装置を利用した矯正学的評価法の開発
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18791554
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
冨田 優子 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員 (70380095)
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Keywords | 血流測定 / 矯正歯科 / 口唇口蓋裂 / レーザードップラー |
Research Abstract |
レーザードップラー式血流画像化装置(LDI)は、血流動態を画像化することが可能であるため組織全体の血流動態の傾向を捉えるのに適しており、医療分野において幅広く臨床応用がなされている。本研究では片側性口唇裂患者における口唇形成術後の治癒評価、瘢痕組織分布評価に対してLDIの応用を検討している。口唇形成術後の瘢痕組織は上顎前歯の傾斜など顎顔面形態に影響を与えることが知られているため、形成術後の皮膚上層部の血流分布を測定することで同部の瘢痕組織を解析し、歯科矯正学的診断・評価法を確立することを目的とする。 (1)測定条件、測定方法と再現性に関する検討 得られたデータの再現性の程度を検討し、症例特有の血流分布パターンを解析する必要があるため、片側性唇裂を伴う3症例においてさまざまな角度と距離を設定し、複数回測定することによって、測定値の再現性を検討した。 (2)片側性口唇裂を有する患者における口唇形成術後の血流分布の測定と分析 片側性口唇裂に対する口唇形成術の既往がある20症例(CLP :12症例,CLA :7症例,CL :1症例;10.9歳±2.0歳)を被験者とした。仰臥位でLDIにて上唇を含む下顔面部をスキャニングし、血流測定と同時に記録されたCCDカメラによる二次元画像を用い、測定領域を設定した。また、血流分布領域におけるConc値(血球濃度と比例する値)、Flux値(血流量と比例する値)、各測定領域における単位面積当たりのFlux値(平均Flux値)をそれぞれ算出し、比較検討を行った。その結果、瘢痕部は周囲白唇部と比較して平均Flux値が有意に小さかった。また、白唇部に対する瘢痕部の平均Flux値をFlux比とし算出すると、口唇口蓋裂患者は口唇裂単独の患者と比較してFlux比が有意に小さかった。 現在、顎態や軟組織形態との関連を検討すると同時にサンプルデータの蓄積を図っている。
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