2009 Fiscal Year Annual Research Report
急速アパタイト転換型リン酸カルシウムセメントの生活歯髄切断法への応用に関する研究
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18791559
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木村 奈津子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (70335800)
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Keywords | 歯学 / 再生医学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
急速アパタイト転換型のリン酸カルシウムセメント(CPC)は,硬化時pHが上昇するが,硬化後HApに転換し中性となる特徴を有する。本研究の目的は,急速アパタイト転換型CPCの生活歯髄切断法への応用の可能性を検討することであり,現在までの実験(ラット皮下結合組織表面への試作急速アパタイト転換型CPCの貼付実験)で,本材が歯髄切断面に硬組織を誘導させるに必要なpH刺激を歯髄に及ぼす可能性があることがわかっている。今年度は,前年度に続きラット歯髄に用いて28日後の状態を病理組織学的に検索した。Ca(OH)_2群,αTCP群(Ca/P比:1.5),r-αTCP(1)群(Ca/P比:1.7)およびr-αTCP(2)群(Ca/P比:2.0)の4群を比較検討した。硬組織の形成は,Ca(OH)_2群は91.7%で,切断面における形成は91.7%,αTCP群は83.3%で,切断面では0%,r-αTCP(1)群は50.0%で,切断面では33.3%,r-αTCP(2)群は33.3%で,切断面では16.7%であった。Ca(OH)_2群と両r-αTCP群間(p<0.05)および,αTCP群と両r-αTCP群間(p<0.05)に有意差が認められた。歯髄刺激性はCa(OH)_2群が最も高く,αTCPと両r-αTCP群は低かった。また,αTCP群と両r-αTCP群で硬組織形成量はわずかであった。以上の結果より,r-αTCPは歯髄刺激性の点からは生活歯髄切断への応用に対して有効であるが,硬組織形成の点からは今後一層の改良が必要であることが示唆された。
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