2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜毛細血管網の微細構造解析による破歯細胞出現条件の検討
Project/Area Number |
18791578
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
久永 豊 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70352292)
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Keywords | 歯根吸収 / 破歯細胞 / 歯根膜毛細血管 / 連続切片 / 三次元再構築 / 微細構造解析 |
Research Abstract |
歯槽骨吸収に関与する破骨細胞や歯根吸収に関与する破歯細胞については、免疫組織化学的、生化学的研究が多くなされており、両細胞ともに歯根膜血管網から遊離される血液幹細胞由来であることが報告されている。しかし、同一の出現経緯をもつ細胞が、一方では骨吸収を担い、他方では歯根吸収を行う機能的相違の発現機序については不明である。そこで本研究では、両細胞の出現由来である歯根膜血管網に着目し、実験的負荷を全く加えない生理的状態で、両細胞出現部位における血管網の分布状態を観察した。 実験動物は生後6週齢のSD系ラットを用い、下顎の右側第一・第二臼歯間歯周組織の試料を採取した。試料採取後、通常の透過電顕試料作製法に準じて、固定、脱灰、脱水、エポキシ樹脂包埋した。その後0.5μm横断連続切片を1680枚作製し、トルイジンブルー染色して連続切片の光顕観察を行った。まず、歯槽骨吸収および歯根吸収部位を検索し、同部位における歯根膜血管網を観察した。さらにイオンエッチングを施し、走査電顕観察し、破骨細胞および破歯細胞を同定した。連続切片はコンピュータを用いて3次元再構築し、歯根膜血管網の走行を立体的に観察した。得られた知見を以下に記す。 1.歯根一歯槽骨間の歯根膜血管の分布には、次のような特徴が観察された。 1)歯根吸収が認められない生理的な切片では、血管はほぼ中央から歯槽骨よりに位置していた。 2)歯根吸収が認められる切片では、吸収窩に対応して歯根寄りに位置する血管が確認された。 3)吸収窩に破歯細胞が認められる部位では、破歯細胞に近接する血管が確認された。 2.連続切片の3次元像より、歯根寄りを走行する血管から歯根の吸収窩へ新生血管の形成がみられた。 以上の結果より、歯根吸収の発現は、歯根膜内における血管の分布に影響される可能性が示唆された。
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