2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791580
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
福島 秀文 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (70412624)
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Keywords | 歯牙交換 / 生理的歯根吸収 / 乳歯 / 歯根膜 / 破歯細胞 / 破骨細胞 / Notch / TNFα |
Research Abstract |
乳歯の歯牙交換期に見られる生理的歯根吸収は、ヒトの成長において必ずみられる現象であり、生理的歯根吸収の不正は健全な咬合環境の育成に重要な影響を及ぼす。この生理的歯根吸収を担っている細胞は、破歯細胞であるといわれており、破歯細胞が乳歯の歯根硬組織を吸収することにより乳歯の歯牙支持を喪失させ、乳歯は脱落する。これまでの研究で我々は、破歯細胞が骨吸収を担う破骨細胞と同様の特徴を有すること、また吸収乳歯直下の永久歯胚から放出されるPTHrPが乳歯歯根膜に作用することにより破歯細胞が誘導されることを明らかにしてきた。さらにこの破歯細胞誘導の際、乳歯歯根膜に発現する破骨細胞の分化に必須の因子であるRANKLが重要であることがあきらかにしてきた。 今回我々は、乳歯の生理的歯根吸収制御を目的に破歯細胞の分化・活性化の調節因子の探索を目的に検討を行ってきた。まずはじめに我々は、破歯細胞と同様の特徴を持つ破骨細胞をモデルに、破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化の際の遺伝子発現の変化をMicro Array方を用いて解析を行った。多くの遺伝子に変化が見られたため、候補遺伝子の選定を、18年度交付金にて購入したPCRサーマルサイクラー、および卓上遠心機を用いて、生化学的手法を用いてスクリーニンングした。そして今回、平成18年度はTNFαおよびNotch関連遺伝子に着目し検討を行った。その結果、(1)炎症・免疫になど様々な生体反応に関わる分子であるTNFαが、破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化の際、autocrine機構により破骨細胞分化を調節していることを明らかにした(現在、論文投稿中)、(2)骨の造血、免疫細胞分化に重要であると言われているNotchシグナルが破骨細胞前駆細胞から破骨細胞への分化に重要であることを明らかにした(論文作成中)。いずれの分子においても、破骨細胞分化のみならず、様々な生命現象に重要な因子であり、さらにこれから検討を行い、破骨細胞分化特異的な機構の解明からさらに乳歯の生理的歯根吸収へとつなげて行きたいと考えている。
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