2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病巣局所における歯肉線維芽細胞との相互作用による樹状細胞活性化機構の解析
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18791583
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金谷 聡介 東北大学, 病院, 医員 (80375097)
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Keywords | 樹状細胞 / 歯肉線維芽細胞 / 細胞接着 |
Research Abstract |
歯肉に存在する樹状細胞(dendritic cell ; DC)は、貪食細胞によるprocessingを経た菌体抗原の獲得とmaturationを経て、T細胞に抗原提示することにより、歯周病原性細菌に対する特異免疫応答の開始に重要な役割を果たす。DC活性化ならびにmaturationの相違は、誘導される特異T細胞免疫応答に影響を与えるが、我々はこれまでにPorphyromonas gingivalis (Pg) LPSによりCD14^+CD16^+サブセットが誘導され、特異な活性化が生じることを明らかにしている(Kanaya S., 2004)。DCは歯肉粘膜固有層内においてT細胞との凝集塊を形成することも報告されており、その遊走・定着の過程においてはリンパ球だけではなく歯肉線維芽細胞(HGF)とのcontactが生じ、何らかの活性化がもたらされる可能性が想定される。 本研究においては、HGFとDC間の細胞接着機構にPg LPSが及ぼす影響についてE.coli (Ec) LPSを対照として比較、検討を行い、以下の結果が得られた。1)HGFをTNF-α,IFN-γ,Ec LPSで刺激するとimDCとの接着が有意に亢進した。2)HGFをTNF-α,IFN-γ,Ec LPSで刺激するとimDCとの接着が有意に亢進した。3)Ec LPS,Pg線毛及びPGN刺激DCではHGFとの接着亢進がみられたが、Pg LPS刺激では逆に抑制する傾向を示した。4)TNF-α、IFN-γ、Ec及びPg LPS刺激によりHGF上のICAM-1の発現が上昇した。5)DC上のMac-1及びLFA-1発現は、各種刺激を行ってもimDCとの差がみられなかったが、Ec LPS刺激の場合にはVLA-4発現の増加がみられた。6)HGFとTNF-α刺激HGF間の細胞接着は、DC上のMac-1及びLFA-1をblockすることにより抑制された。 これらの結果は、歯周病の炎症病巣局所におけるDC-HGF間の細胞接着亢進を強く示唆するもので、DC、HGFの両者に何らかの細胞機能修飾が生じている可能性が推測される。 (以上の内容は84th International Association for Dental Research, Brisbane, Australiaにおいて研究発表したものからまとめました。)
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