2007 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症ラットの歯周組織再生に及ぼすビスホスフォネートおよびエナメル蛋白の影響
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18791600
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
白方 良典 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (60359982)
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Keywords | 歯学 / 骨粗鬆症 / ビスホスフォネート / エナメル蛋白 / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、閉経後骨粗鬆症・実験的歯周炎疾患モデル動物を用いて1)骨粗鬆症と歯周炎に起因する骨量減少、歯周組織破壊の病態の相互メカニズムを解明すること2)ビスホスフォネートとエナメル蛋白(EMD)の単独・併用投与による歯周組織再生に及ぼす影響について解明することである。実験動物としてウィスター系雌性ラット(12週齢)40匹を実験動物に用いた。全身麻酔下で、卵巣摘出術(OVX)および偽手術(sham)の2群(各群、20匹)の処置を行った。なお上顎両側第一臼歯に矯正用ワイヤーを全周に結擦、プラーク蓄積を行い歯周炎を惹起した。4ヵ月後、全個体の上顎両側第一臼歯近心に2壁性骨欠損を外科的に作成し、片側歯根面に対しEMDの塗布、反対側は未処置のまま歯肉弁の復位縫合を行った。なおビスホスフォネート(0.3mg/mg週3回)の腹腔内投与をOVX群、sham群それぞれ10匹に行った。4週の観察期間終了後、安楽死を行い上顎骨,脛骨について組織学的および放射線学的評価を行った。脛骨では組織学的にも放射線学的にもOVX群ではSham群に比較し有意に骨量の減少を認めたのに対し、上顎骨ではOVX群で根間中隔部の骨梁がsham群に比べ疎で骨髄腔の拡大を認めたのみで骨吸収率に有意差は認められなかった。なおEMDの塗布により上顎骨歯周組織欠損において上皮の深行増殖の抑制傾向が認められた。ビスホスフォネート投与によりOVX群の脛骨で骨量減少を抑制する傾向が認められたが歯槽骨欠損の治癒には大きな影響を及ぼさなかった。本研究結果より骨粗鬆症単独では歯周組織破壊を増強しないこと、上顎骨と脛骨はエストロゲン欠乏の影響、およびビスホスフォネートに対する応答性がそれぞれ異なることが示唆された。
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