2008 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレスに対する歯根膜由来細胞の免疫学的検討
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18791601
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
山本 俊郎 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 助教 (40347472)
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Keywords | メカニカルストレス / 歯根膜由来細胞 / 免疫学的検討 |
Research Abstract |
これまでに我々は、ヒト歯根膜由来細胞(hPDL細胞)が咬合圧に近似したメカニカルストレスや過度のメカニカルストレスに対しサイトカイン産生能を有し、歯周組織の局所炎症や外傷性咬合に影響を与えることを報告した。今回は、メカニカルストレスに対する歯周病原菌Porphyromonas gingivalis(P. gingivalis)の影響を検討した。 hPDL細胞は大臼歯歯根膜から採取、初代培養後、静水圧(1, 6, 10MPa)を負荷した(メカニカルストレス単独群)。さらに、24時間のP. gingivalis(1×10^7CFU/ml)刺激を行った(メカニカルストレスとP. gingivalis刺激群)。その後、IL(インターロイキン)-1β、IL-6、IL-8、TNF(腫瘍壊死因子)-αに関してR下PCR法とEL-SA法での検討及び細胞形態の観察を行った。 メカニカルストレス単独群は、IL-6、IL-8、TNF-αmRNAが発現、メカニカルストレスとP. gingivalis刺激群は、すべての炎症性サイトカインmRNAを発現誘導した。そして両群ともに-L-6と-L-8産生を認め、強さが強くなるにつれ増加したが、IL-1βとTNF-α産生を認めなかった。また、メカニカルストレスとPgingivalis刺激群の方がメカニカルストレス単独群に比べ、IL-6とIL-8産生量の著しい増加を認めた。なお、両群ともにhPDL細胞は、形態学的な変化を認めなかった。 以上から、hPDL細胞の炎症性サイトカイン産生は、メカニカルストレスの強さの影響を受けるが、それよりも歯周病原菌(P. gingivalis)の影響を強く受けた。すなわち、歯根膜の局所炎症には病原性因子である歯周病原菌の影響が強く、メカニカルストレスはこれを助長する因子と考えられた。
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Research Products
(5 results)