2006 Fiscal Year Annual Research Report
歯周組織再生を目指したCaチャンネル阻害剤の骨吸収と骨形成作用の解析
Project/Area Number |
18791604
|
Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
小出 雅則 松本歯科大学, 総合歯科歯学研究所, 講師 (10367617)
|
Keywords | 歯周組織再生 / Phenytoin / Caチャンネル阻害剤 / 骨吸収 / 骨形成 |
Research Abstract |
歯周疾患が進行すると歯周組織の破壊と病的な骨吸収が引き起され,歯が喪失する。歯周病治療において歯周組織の破壊防止のみならず,失われた歯周組織を再生する治療が求められている。最近,細胞内のカルシウム(Ca)シグナル伝達阻害薬であるシクロスポリンAが骨吸収を抑制することが報告されたが,この薬剤は,免疫抑制剤のため,歯周治療に応用出来ない。そこで,Caチャンネル阻害剤のひとつである抗てんかん薬(Phenytoin)が骨吸収に及ぼす影響を解析した。 平成18年度は,PhenytoinのLPS誘導性骨吸収に及ぼす影響を検討した。 1.マウス骨髄細胞と骨芽細胞の共存培養系を用いて,LPS刺激で破骨細胞形成を誘導した。これをPhenytoinは,有意に抑制した。 LPSの破骨細胞分化にPGE_2産生が重要である。そこで,Phenytoinの作用機序を調べるため,LPS刺激によるPGE_2産生に及ぼす影響を検討した。 2.新生仔マウス頭蓋骨を用いた骨器官培養系を用いて,LPSの骨吸収活性にPhenytoinを添加して,Ca放出量を測定した。その培養上清中のCa量は,Phenytoinにより有意に抑制した。さらに,この培養上清中のPGE2量は,Ca量と相関して減少傾向を示した。 3.PGE_2の鍵酵素であるCOX-2,破骨細胞分化の必須因子であるRANKLとそのデコイ受容体のOPG発現をRT-PCR法で調べた結果,LPS刺激によるマウス骨髄細胞のCOX-2発現をPhenytoinは抑制した。しかし,骨芽細胞では,L, PS刺激によるCOX-2,RANKLおよびOPGの発現に何ら影響を及ぼさなかった。 以上の結果,Phenytoinは骨芽細胞でなく、破骨細胞前駆細胞に直接働き破骨細胞分化を抑制していると考えられた。次年度は,その作用について詳細に検討する予定である
|