2006 Fiscal Year Annual Research Report
人工ニューラルネットワークを利用した虚血性脳疾患の歯科的リスクファクターの検討
Project/Area Number |
18791609
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 進太郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00361105)
|
Keywords | 脳 / 虚血性病変 / MRI / 人工ニューラルネットワーク / 高齢者 / 現在歯数 |
Research Abstract |
近年、虚血性脳疾患の発症と歯周病や歯の喪失との関連を示す疫学調査結果が報告されているが、アウトカムは虚血性脳疾患の発症に設定されており、MR画像で確認される無症候性の虚血性病変は評価対象となっていない。無症候性の虚血性病変は、T1強調、T2強調およびプロトン密度強調の3種のMR画像から、人工ニューラルネットワークによる非線形クラスタリングの手法を応用することにより自動的、定量的に検出することができる。本研究はこの手法を利用して居宅高齢者における無症候性の虚血性病変と口腔状態との相関を解析することを目的とし、今年度は虚血性病変容積と現在歯数との関連について検討した。 被験者は69-75歳の居宅高齢者194名(男性92名、女性102名)である。被験者には本研究の趣旨と内容および安全性について口頭および書面にて十分説明し、同意を得ている。撮影した脳MR画像をワークステーションに転送し、空間的正規化の後に虚血性病変を検出し、その容積を算出した。被験者を残根を除く現在歯数が0-9本、10-19本、20本以上の3群に分け、年齢と性別を調整した共分散分析にて3群の虚血性病変容積を比較した。 その結果、各群の虚血性病変容積(平均±1S.D.)は、0-9本群で32113±18954mm^3、10-19本群で24391±13122mm^3、20本以上群で24588±13144mm^3であり、年齢と性別を調整した共分散分析において0-9本群と20本以上群との問にのみ有意差を認めた(P=0.038)。高齢者における歯の喪失の主原因は歯周病であり、現在歯が少ない高齢者で虚血性病変容積が多かったことから、歯周病と無症候性の虚血性病変との関連を伺わせる。今後は被験者の背景因子をより多く考慮に入れ、解析を進める予定である。
|
Research Products
(1 results)