2008 Fiscal Year Annual Research Report
ミルナシプランの口腔内灼熱症候群に対する臨床効果の検討
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18791611
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 宏之 Nagoya University, 医学部・附属病院, 助教 (50378030)
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Keywords | 精神薬理 / 抗うつ剤 / 疼痛性障害 |
Research Abstract |
今回の研究では、ミルナシプランのBurning Mouth Syndrome(以下BMS)患者38名に対する臨床効果を抑うつ症状を考慮しつつ検討した(歯科心身医学領域では、非定型歯痛という口腔内疼痛を呈する疾患概念があるが、今回の研究では類似した疼痛性障害としてBMSに包含した)。 ミルナシプランは、初回投与量30-50mg/dayから開始し、症状変化と副作用を勘案しつつ最大100mg/dayまで適宜増量した。治療前後のVASスコア(疼痛の評価尺度)HAMD(抑うつの評価尺度)について比較検討した。12週間のミルナシプランによる治療前後でVASスコアの変化を比較すると、有意な減少がみられた(治療前 : 47.8±27.5(SD)、治療後27.8±23.6, t=4.93, p<0.0001, n=38)。また、試験開始時点におけるHAMD8点以上の患者19名と、7点以下の患者19名について、VASスコア経時変化を解析した。その結果、HAMDスコアが7点以下/8点以上であることと、経時変化の間に、有意な交互作用はみられなかった(df=7, F=1.01, p=0.43)。ミルナシプラン血中濃度と服用量について、有意な直線回帰が成立した(Y=41.89+0.36X, r=0.56, R2=0.31, p=0.0003, n=38)。個人間で血中濃度のばらつきは小さく、また、投与量を増やすと直線的に血中濃度の増加が示唆された。ところが、血中濃度とASスコア-の減少率、血中濃度と最終的なVASスコア-とについてはいずれも関連しなかった。 今回の研究を通じて、ミルナシプランはBMS患者の疼痛に対して、抑うつの程度にかかわらず有効な治療薬剤である可能性が示唆されたものの、血中濃度と疼痛に対する効果に関連が認められなかった。薬理効果だけではなく心理・社会的要因(TCI : 性格傾向やPBI : 養育体験)の影響にういて検討したが、38例については、父親の養育が希薄であるという一定の印象は認めたが、解析にはいたらなかった。
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Research Products
(4 results)