2006 Fiscal Year Annual Research Report
地震災害時における精神障害者の生活再構築に向けたサポート体制の一試案
Project/Area Number |
18791630
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
坂入 和也 群馬大学, 医学部, 助手 (80361369)
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Keywords | 看護学 / 自然災害 |
Research Abstract |
本研究の目的は、地震災害時における精神障害者の生活の再構築に向けたサポート体制のあり方を明らかにすることである。本年度は、地震災害時の病院に入院中の精神障害者への援助体制の現状を明らかにする計画であった。受け入れ病因での看護の特徴を明らかにするために、実際に被災地の病院に入院中だった約10名の精神障害者を受け入れた病院において、患者の看護に従事した看護職員を対象に、聞き取り調査を行った。その結果、被災後の患者受け入れに際して、精神状態や、体調、反応などの転院先への情報が少なく、患者の全体像の把握がし難い面があった、という問題点が明らかとなった。また、病院の看護体制や方針の違いのために、自立している機能と、依存的な機能と区別が、特に清潔ケアの際にアセスメントしづらかった、といった問題が生じていた。さらに、患者がそれまで入院していた病棟では、洗面道具などは、全体で管理しているといった管理体制の違いのために、患者が自分の持ち物を持つという生活習慣がなく、自分の持ち物と他人の持ち物の区別がつかなかった、患者の情報の中で自立度の情報がなかった、着衣に対して、日中と夜間の区別がなかった、などの意見が聞かれた。転院してきた患者に多く見られた傾向として、家族との連絡がなかなかつかなかった、長期入院者が多く、面会がまったくない患者が多かった、という意見が聞かれた。患者の家族も被災しているために、入院に必要とされる物品が用意できず、必要な生活物品などは、病院の精神保健福祉士が用意した、といった情報を得ることができた。今後は、これらの結果をもとに、調査用紙を作成し、他地域における地震被災地の病院での精神科看護の実態について明らかにしたい。
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