2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護師の生物災害に対する準備性および教育に関する研究
Project/Area Number |
18791652
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
森 那美子 国立国際医療センター(研究所), その他, 研究員 (20421828)
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Keywords | 生物災害 / 看護師 / 継続教育 / 準備性 |
Research Abstract |
近年、新興感染症の出現やバイオテロリズムなど、生物に関連する災害が世界各地で発生している。生物災害の予測は困難であり、どの医療機関でも初療体制の人的・物的整備が必要である。H18年度研究では、看護師の生物災害に対する準備性(調査1)と、生物災害に関する継続教育の状況(調査2)を把握し、今後看護師教育に必要とされる事項を抽出することを目的とした。[方法]全国の大学附属病院および都道府県ごとに層化無作為抽出した591医療施設に自記式質問紙を郵送し、外来・救急医療部署看護師各施設3名(調査1)および看護師継続教育担当者(調査2)に配布を依頼した。[結果]調査1:219施設469名より回答を得た。対象者の看護師経験年数は平均18.7年、部署経験年数は平均5.7年であった。災害発生確率の認識は、地震災害より生物災害が低く(p<0.01)、国内発生より自分の施設に被災者が受診する確率が低かった(p<0.01)。生物災害に関する基本的事項の理解(7問11点)は、平均6.8点であった。被災者のケアに対する不安は、バイオテロリズムが最も強く、次いで新型および鳥インフルエンザであった。不安の原因として、知識やケアの経験がないことが上位を占めた。災害への準備的行動として過去3年間に受講した研修は院内感染、インフルエンザ、自然災害の各対策順で多かった。調査2:191施設より回答を得た。継続教育は、院内感染対策91.1%、インフルエンザ対策61.3%、自然災害対策23.0%、NBC対策2.6%、バイオテロリズム対策3.1%が行われていた。[考察]生物災害に対する不安は強く、原因として知識やケア経験のないことが挙げられた。一方で生物災害に関する研修は開催も受講もあまり行われていないことから、今後は講義や模擬訓練などを積極的に看護師継続教育に取り入れ、生物災害への準備性を高める必要があると考える。
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