2008 Fiscal Year Annual Research Report
効果的な糖尿病患者教育のための患者スクリーニングツールの開発
Project/Area Number |
18791656
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柴山 大賀 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80420082)
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Keywords | 看護学 / 糖尿病 / 患者教育 / 行動変容 / 臨床研究 / アウトカム |
Research Abstract |
前年に実施した文献レビューの結果は、2型糖尿病の自己管理教育でself-efficacyを用いることについての既存のevidenceに疑問を投げかけるものであった。そこで本年度は、療養行動に影響を与えうる患者の要因として、self-efficacyに固執せず、患者のbeliefを別の視点でとらえることとした。近年、Leventhalらのthe Self-regulatory Model(Common-Sense Model)が、多くの慢性疾患の研究分野で適用されていることから検討を始めたところ、その構成概念であるillness perception(以下、IP)が、患者のbeliefの一側面として本年度の目的に合致すると考えられた。実際、海外の先行研究では横断的、縦断的に、2型糖尿病の療養行動とIPの関連を示唆していた。ただし、これらの検証はもとの理論に忠実でなく、IPの部分的なドメインしか扱っていないために、今後の検証の余地が十分にあると考えられた。 しかしIPの測定尺度は海外で開発されたものしかなかったため、本年度は、日本語版のIPの尺度開発に着手することとした。その際、海外で開発された尺度の中では、2006年に公表されたthe Brief Illness Perception Questionnaireが、全9項目と最も項目数が少なく、臨床での適用可能性が高いと考えられた。さらに、より詳細な尺度であるthe revised illness perception questionnaireも参考に、両者の利点を取り入れた、糖尿病に特異的な全11項目からなる尺度案を作成した。これは現在、看護学分野の複数の研究者による内容的妥当性の検証、2型糖尿病患者への試用による表面的妥当性の検証を終えている。今後は、構成概念妥当性や再テスト信頼性など、他の性能を数量的に評価することが課題である。
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