2006 Fiscal Year Annual Research Report
医療機関におけるDV被害者支援の現状と支援体制整備に向けての課題の明確化
Project/Area Number |
18791675
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
菅原 真由美 大分大学, 医学部, 助手 (90381045)
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Keywords | DV / 被害者支援 / 医療機関 |
Research Abstract |
DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者の早期発見・早期治療,受け入れ体制の整備,医療関係者に対する教育の充実等に向けて,(1)大分県内の医療機関における過去1年間の被害者の受診状況,(2)DV被害者に対し現時点で行われている対応方法や支援の実際,(3)医療関係者のDVに関する認識など,現時点でのDV被害者への医療の実態を明らかにすることを目的に,大分県内の医療機関1,000ヶ所を対象に,質問紙調査を実施した。回収率は34.1%(341件),有効回答率は99.7%(340件)であった。 1.過去1年間の被害者の受診状況について,DV被害者の診療経験は,66ヶ所(19.4%)の施設があると答えた。診療科や被害者の年齢・被害状況は多岐に渡っていた。被害者は一人で来院するケースが多く,被害者自身が話してくれることにより加害者の特定ができていた。 2.DV被害者に対し現時点で行われている対応方法や支援の実際では,64施設でDVに対し何らかの取り組みを行っていたが,診療経験無しの施設と有りの施設では取り組みの有無に差が見られた。受診した被害者に対しては,治療・処置を行ったり,詳しく話を聴いたりすることが主な対応であった。 3.医療関係者のDVに関する認識では,医療従事者向けの対応マニュアルが必要(76.8%),地域の相談機関についての情報や困った時に相談できる窓口が必要(92.1%),地域の相談機関とのネットワークが必要(75.6%)と感じていることが分かった。DVに関する教育や研修・講演会等の参加経験がある者は,5.3%であったが,今後,参加したいと思う者は46.5%であった。 これらのデータに加え平成19年度には,行政や民間の相談機関を含めたDV被害者支援関係機関への調査を行うことで,今後のDV被害者の支援体制整備に向けての課題の明確化を図る。
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