2006 Fiscal Year Annual Research Report
ラオス人民民主共和国における周産期の健康希求行動と妊産婦死亡に関する研究
Project/Area Number |
18791694
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
嶋澤 恭子 滋賀県立大学, 人間看護学部, 助手 (90381920)
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Keywords | 健康希求行動 / 妊産婦 / 助産学 |
Research Abstract |
ラオス人民民主共和国の妊産婦死亡率は10万人あたり530と高い(2004)。2002年のラオス公式資料にてラオス政府は妊娠における「高い死亡率」と「医療サービスの利用と質の低さ」を結びつけており、「介助のない」「家」での出産を危険視している。そして「政府の医療施設は女性が出産のとき周辺的な役割しか果たさない」[MOH-LAO 2001]とし、ほとんどが家で出産しているという事実を問題視している。そして専門的技能を持った介助者のいる出産を啓蒙し、医療施設へのリファラルシステムの構築の必要性をあげている。 一方で、ラオスは49ともいわれる多民族で構成される社会であり、その社会文化的状況は多様である。 本研究では、南ラオスのSekong県およびCampasack県において、モン・クメール系およびラオ系の人々の周産期における健康希求行動について分析する。女性たちの医療とのつきあい方をフィールド調査により考察する。 本年度は、周産期におけるHealth Seeking Behaviorに関する先行研究の整理と分析をおこなった。調査としては、まず、Sekong県において医療機関の視察およびスタッフへの聞き取りを行った。具体的には県立病院、郡病院(Dakchung)、そしてヘルスセンター(Dakchung)のスタッフ、および村のヘルスボランティア、TBA、施術師である.また妊婦と産後1か月未満の女性に対して出産場所や出産介助者、周産期の異常とその対象法等について尋ねた。質問紙については、現地語への翻訳作業を重ね、試験的調査を通して改訂した。 さらに、現地図書施設などを通じて必要な文献や資料、報告書を収集した。 女性たちが周産期に異常が見られたときの対処行動として、いわゆる近代医療へのアクセスが優先されているわけではないことが明らかとなった。しかし、緊急と考えられた場合には、彼ら自身がrefer resouceを生み出していることも明らかとなった。そして医療サービスの場でのStewardshipの実態も少なからず生じていた。 以上のことを踏まえて、女性の医療行動め選択肢の多様性と限界、あるいは代替となっているものについて、その多様性についてさらに分析をすすめたい。
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