2008 Fiscal Year Annual Research Report
広島県近域における小児がん経験者のピアサポートシステムの構築
Project/Area Number |
18791701
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
土路生 明美 Prefectural University of Hiroshima, 保健福祉学部, 助教 (00347626)
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Keywords | 小児がん経験者 / ピアサポート |
Research Abstract |
広島県近域では, 小児がんの子どもの家族会が中心となり, 2005年より小児がんを含む小児難病経験者対象としたキャンプ(以下キャンプ)を開催し, 彼らの自立支援活動を行っている。キャンプでの交流をきっかけに2006年に小児がん経験者の会(以下、患者会)が発足し、現在、彼らは交流会やキャンプの運営に携わるなど活動している。そこで小児がん経験者の自助グループに対する期待やニーズについて明らかにすることを目的に研究を行った。 平成20年10月から平成21年3月の期間で小児がん経験者会の参加者4名に半構成的面接を行った。語りを分析した結果、対象者は20代女性であった。現在も晩期障害のため治療を継続している方は2名であった。患者会参加の動機は主治医からのすすめや入院期間が同じ知人の参加がきっかけとなり、交流を希望していた。交流の内容は、同じ病院で同じ病気・治療を経験した仲間と、同窓会のように近況報告や過去の体験を話し、経験者だからこそ分かりあえ、励まし合っていた。また、晩期障害に関する情報共有することで不安や心配を軽減していた。ピアサポートと患者会との関連について、入院中からの家族ぐるみの相互交流が退院後の交流につながり、さらにキャンプでの再会、交流が患者会の設立、会での交流へとつながっていた。これはがん患者の自助グループを対象とした先行文献と同様の結果であった。また患者会への参加をきっかけに、以前より親と病気のことについて話せるようになったという。患者会への期待として、今後も患者会を継続し、多くの小児がん経験者の支えたいと対象者全員が望んでいた。患者会の運営にたずさわっている対象者は家族会と協同が不可欠であり、ともに小児がんの子どもの支援を行いたいと願っていた。このように、患者会で交流することで小児がん経験者の成長・自立につながり、支援される人から支援する人へと当事者支援が発展していくことが示唆された。
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