2006 Fiscal Year Annual Research Report
ひとり親家庭における親のワークライフバランスと子育て・親支援プログラムの開発
Project/Area Number |
18791707
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
水野 千奈津 帝京大学, 医療技術学部, 講師 (70363794)
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Keywords | ひとり親家庭 / ワークライフバランス / 子育て支援 |
Research Abstract |
本年度は、支援プログラムの開発と運営整備のために、国内(北海道、関東、北陸、関西、中国及び九州の計10箇所)における保健所、保健センター、母子寡婦福祉連合会にてひとり親家庭への支援状況事前調査をした。 調査前に都道府県及び市町村から統計資料及び文献より子育て支援の視点からひとり親家庭に対する施策や制度、また支援するにあたり今後必要となる課題について抽出したもの以下3点に充填をおき、ヒアリングを行った。 1.ひとり親家庭に対する相談機能について ・社会的及び精神的な不安要素を抱えるひとり親家庭にとっては、生活基盤をはじめとする各家庭における問題に対する解決の手がかりとなる相談等サービス機能の支援が必要である。しかし、自ら窓口に出向くなど自発的な行動がなければそれらを受給できない。特に相談事業ではプライバシーに関わるものが多く、対象者自身のアクションがなければ不可能である。仕事と家庭での役割の両方を担う親にとっては相談したくても時間的制約のほか、その具体的な相談場所について徹底した周知がなされていない事が多いことがうかがわれた。相談事業ではその事業方策が対象者に沿うものであるか検討の予知があることが示唆された。 ・相談に関する効果的なアプローチには、安心して相談できる人の育成が不可欠であることが伺われた。各都道府県では母子自律支援員をはじめとするひとり親家庭に携わる者に関して、研修会を不定期ではあるが開催している。しかし、多くの対象者にとっての窓口となる母子自律支援員のほとんどが非常勤であり雇用条件の兼ね合いから、研修会への参加が困難である。また相談を受ける側の雇用という視点からも継続した相談事業の展開にも行き詰まりがある。 ・また他機関との連携をとり、親子の心身ともに健全な育成へと導くことができるケアへとつながるよう多方面から充実した支援を図ることが必要であることが示唆された。 2.子育て支援施策に関するニーズについて ・支援が急遽必要になった場合、申請をはじめとする諸手続きのために間に合わない施策や制度が多い。また実施を依托している団体等においても対象者の実情にあった対応ができない状況にある。また施策等に関しての周知が不十分であることが示唆された。「病児及び病後保育」「休日・夜間保育」まもとより、「就学後の子どもの保育及び保育時間の延長」の要望がひとり親家庭は特に挙げられるがそれらのニーズへの対応に、全調査対象機関において未整備であるとの回答が得られた。 3.ひとり親家庭に携わる支援者に求められる視点について ・経済を支える就労支援に業務の偏りをとうしても強いなければならない実情がある。揺らぐ心的側面へのケアに対する支援に時間をかけ、柔軟な対応ができる応用力の習得が必要である。専門性を担う機能を担保していくためには研修会等をはじめとするコンピテンシーへの働きかけが不可欠であるが充分ではないという状況にある。
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