2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18791709
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
瀬山 留加 高崎健康福祉大学, 看護学部, 助手 (10412991)
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Keywords | 家族看護 / 脳腫瘍 / 苦悩 / 尺度開発 |
Research Abstract |
脳腫瘍患者の家族が、患者の日常生活動作の低下や意思疎通が困難となる状況を目の当たりにすることで抱える苦悩を明らかにし、効果的な心理・社会的支援の開発を行なうため、下記の通り調査研究を行なった。 1.対象者となる家族にインタビューを行い、質的分析により苦悩の詳細を明らかにした。 1)逐語録を分析した結果、脳腫瘍患者の家族が抱える苦悩に関連したコードは74であり、抽象化を進めることで20のサブカテゴリー、3つのカテゴリーが得られた。 2)カデゴリーは、≪難治性のがんであることに関連した苦悩≫≪家族のらしさが失われることに関連した苦悩≫≪がん患者の家族として悲嘆プロセスの中にある苦悩≫であった。 2.がん患者の家族の苦悩に関する国内外の既存研究を検索した。 1)医学中央雑誌・Pub Med・OVID Web Gatewayに所蔵されているComulative Index to Nursing & Allied Health Literatur6の3つめデータベースからがん家族の苦悩に関する54文献を抽出した。 2)苦悩と類似すると思われた関連概念の相違を確認するため、1)と同様のデータベースを用い、がん家族の不安・悲嘆・苦痛・葛藤に関する96文献を抽出した。 3)Walkerらの概念分析手順を用いて検討した結果、がん患者の家族の苦悩とは、現実と自らの希望との間で矛盾が生じ、(1)患者の死に関連した苦しみ(2)患者ががんであることに関連した苦しみ(3)がん医療に関連した苦しみ(4)人的環境に関連した苦しみであることが明らかとなった。 3.1、2の結果を比較した結果、脳腫瘍患者の家族の苦悩も他のがん患者の家族と大差はないと考えられたが、対象者の数が少なく、構成概念・下位尺度等・質問項目などを決定するにはデータが乏しいと判断されたため、平成19年度も調査研究を行い、尺度の作成と信頼性・妥当性の評価をすすめることとした。
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