2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎患者がインターフェロン療法を完遂するための要因分析と支援に関する研究
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18791710
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古屋 洋子 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助手 (80310514)
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Keywords | C型肝炎 / インターフェロン療法 / 継続支援 |
Research Abstract |
IFN療法は、現在、唯一有効な抗HCV治療薬とされているが、治療に伴う抑うつ症状の発症は-44%と決して少なくない。抑うつ症状は、治療中の患者のQOLを低下させるだけでなく、コンプライアンスの低下や治療中断の主な原因となってきた。最近では、ウイルスクリアランスに達するためのアドヒアランスの重要性やC型肝炎ウイルス(HCV)治療中、ウイルス学的著効に達するために、IFN療法に伴う精神的副作用に高い注意を払うこと、またその同定と治療の必要性が強調されている。精神的副作用と治療効果との関連についても報告されており、IFN療法中の抑うつ症状発症のリスクを特定することは治療の完遂ばかりか、治療効果向上にとっても非常に重要である。従来から、うつ病などの気分障害は多因子疾患と考えられ、環境的要因、生物学的要因、性格特性、遺伝的要因などが様々な程度で発症に関与すると考えられている。IFN療法に伴う抑うつ症状の発症についても、IFNの投与量や投与期間などの治療自体の影響、性別や年齢、飲酒/薬物の使用、うつ病親和性性格傾向、本人および家族の抑うつ状態の既往などが予測因子として明らかにされている。しかし、病気についての理解やサポートなど、社会的側面と抑うつ症状発症の関連については、まだ検討されていない。そこで本研究は、C型慢性肝炎患者のIFN療法に伴う抑うつ症状発症を前向きに評価すること。加えて、IFN治療中の抑うつ症状に関与すると予測される治療前の因子を環境的要因、生物学的要因、性格特性などから多因子的に評価・検討することとした。対象は、IFN療法を開始する患者であり、対象者に研究の主旨、方法を説明し、書面での同意を得た上で、質問紙への回答を求める。本研究は前向きコホート研究(prospective cohort study)であり、治療開始前、開始後3ヶ月の調査を行う予定である。本年度は、質問紙、調査方法の検討および研究フィールドの開拓、依頼等の準備を進めた。
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